放送から日が経つにつれて、新聞や身の回りで「マイナ保険証」に対する疑義やら、反対
行動などが目に入るようになり、システムの不備の修正を2回もして計30億円もかけたの
に、まだ不備があるとの報道には、呆れた。
直近の経験だが、銀行で送金をしようとしたところ、タッチパネルを持った行員がつきき
りで世話をしてくれる。印鑑は不用になったが、写真付き身分証明書をと言う。持ってい
ない。現行の健康保険証でOKになった。銀行通帳がマイナカードに紐づけされているのか
?こうしてマイナンバーに反対している私も、いつの間に取り込まれている。声を上げる
必要性を強く感じる。 報告:笠原眞弓
<おかしいぞ!マイナ保険証強制〜政府の魂胆を解き明かす>
2024/11/13 レイバーネットTV・第209号
・視聴サイト https://www.youtube.com/watch?v=Eu4M5k0-rM8
主席者: 白石 孝
小島美里(NPO法人 暮らしネット・えん)
◆12月2日のXデイに向け「お粗末!マイナ保険証 でも侮るなマイナンバーカード」
白石孝さんは、冒頭から「全くくだらない。何兆円もかけてやっている意味が分からない
」といい、先ず以下の3点に絞って話を進める。
1必要ない!マイナ保険証、その内容は?
2介護から見る今の日本社会、マイナどころじゃない
3あなどるな~マイナカードは何を狙っているのか
◆1の問題:健康保険加入者が保険診療を受けられるようにするのは国の義務
・マイナンバーカードは75%の普及率
マイナンバーカードの申請・交付・保有状況は10月末現在、1億2490万人(日本人+住民登
録済の外国人)。マイナカードの交付者は1億人を超えているが、実際に使える状態の人は
、9494万人。今の段階で、マイナカードを持っていない人は25%もいるともいる。
利用率を見ると、マイナ保険証を持っている人の13%しか利用していない。しかも厚労省
や内閣府の役人たちの利用率が、一般市民と変わらないという「不思議世界」だとか。
今使用している普通の保険証は、その有効期限まで使えるし、期限が切れても「資格確認
書」が送られてくることになっている。つまり国民皆保険制度なので、「任意」のマイナ
保険証を持たない人のために、国は保険診療が受けられるように、2本立てでやらざるを
得ない。
「有効期間は4~5年で、1年単位の有効期間を設定し」としてある。
・マイナ保険証は、診察の度に提示(現行のは月1回)
マイナ保険証は診療の度に認証を受けなければならず、そのカード―リーダーの性能がお
粗末で度々エラーが出る。
・マイナ保険証を使う我々のメリットは「バカにするなよ!」のレベル
1、医療費を20円節約できる(とトップにある)
2、よりよい医療が受けることができる(比較をすれば、確かにある)
3、限度額を超える支払いを(手続きなしで)免除
・「義務ではない」マイナンバー保険証なので政府がやらざるを得ない解除手続き
マイナカードの登録解除受付が始まったが、開始2週間で792件と少ない。だが、マイナン
バーもマイナ保険証も任意なのだから、国がここまでやらざるを得ないと追い詰められた
ことに意味がある。
◆2の問題:超高齢化社会―マイナ保険証は手間ばかり(小島美里さん)
・高齢化率が上がれば認知症率も上がる
日本の高齢化率は現在29%を超え、2060年には37%超えの可能性があるとか。世帯家族累
計のグラフを見ると、出生率が下がる中で「男性:75~79歳」で夫婦のみが50%近く、そ
の方たちはいずれ独居となる。ところが行政現場はこの現実に目をつぶり、3世帯同居が
前提で、高齢の親を子どもが見ることを前提とした政策をしている。
・超高齢化社会は認知症社会(プレ認知症を含め1000万人)
今後95歳を過ぎて認知症でない人は珍しいのに、今後90、100歳まで生きるのが当たり前
になる。国も昨年「認知症基本法」を作ったが、理念はいいが、政策が伴っているかが問
題。
・自分でマイナンバーカードの申請が出来ない高齢者はどうするの
要介護高齢者のマイナカードの申請の3つの問題点を挙げる
1要介護高齢者らのマイナカード申請は難しい―申請支援、受け取り代理問題
施設職員らが、個人情報満載のカードの代理受け取りをしていいのか
2身寄りのない、判断力の衰えた人のマイナカードや暗証番号を支援者が管理するのはリ
スクが大きい(暗証番号の管理などについてのマニュアル作成が必要)
3マイナ保険証がない人への「資格確認書」交付も原則、申請が必要。申請漏れで無保険
扱いになる人も出かねない(資格確認者の申請が期待できない場合、各医療保険者が職権
で交付)
・マイナカードの管理を介護従事者に任せていいのか
重要な個人情報の入っているマイナカードの管理、申請の手間などについて、表に出ない
大問題があると指摘する。
◆マイナンバーカードを作ったのは誰?管理は?その現実(当事者に聞いてみた)
・「自分で」「家族が」作った
昨年の調べでは「5年前に自分で作ったけれど、今は暗証番号も覚えていないし、更新は
出来ないかもしれない」「同居家族がついでに」「本人が動けるうちにヘルパーのサポー
トで」などがあった。
また、まじめな高齢者ほどマイナ保険証は作らなければならないと思い込み、作りたがる
傾向があるという。
介護の現場では、忙しい中で苦労して対応しているのだが、カードに添付する顔写真にシ
ーツの皴があると突き返されたこともあるとか。
・マイナンバーカード、マイナ保険証の管理は誰が?
暗黙の了解で訪問、あるいは施設の介護者がやってもいるが、事件(預金の引き出し)な
ど、皆無ではない。また施設の場合、マイナ保険証は貴重品なので、金庫に保管している
ところもあり、夜間救急時に不便である。
介護現場は現在過重労働で担い手が不足しているにもかかわらず、行政は当然のように「
あれも」「これも」と様々なことを無報酬で押し付けてくるのは、何なの?と思う。
◆ジョニーと乱のホッと一息
○乱鬼龍の川柳コーナー
マイナ保険証何を狙うかたくらむか 乱鬼龍
まだやるかトラブル絶えぬ保険証 祐民
○ジョニーHの歌のコーナー
マイナマイナ(元歌「マイムマイム」)
◆マイナンバーシステムとマイナンバーカードの基本解説
・世界の主要国では共通番号(マイナンバー)でカードにひも付けはナシ
共通番号のある国は、住民登録のある国や社会主義国(韓国、中国、マレーシア、シンガ
ポール、北欧)に多く、自由主義の国(アメリカ、カナダは社会保障番号)は、国による
管理しない傾向にある。だが世界の流れとしては、国民を管理しようという方向にある。
一方、新しい動きがイギリスにあり、任意でスマホなどで政府に登録し、本人認証もスマ
ホで出来るシステムになっている。まだ登録者は10%くらいだが、世界的にみれば、カー
ドからスマホなどを使うようになっている。EUは、厳しい個人情報保護規定があるのでそ
れが使えるが、日本は保護の部分が未熟なのに利用の方を進めようとするから問題となる。
世界的にみても、カードを使って国民を強く管理しようという方向にある。韓国の場合、
北からの武装ゲリラの流入が激しかった朴正煕大統領時代に、その対策として導入された
ことでも分かる。
◆マイナンバーカード反対の集会デモの映像上映
11月7日に日比谷で行われた集会で、反対の理由を述べていた。「任意なのに強制?」「
民間に任せて、健康保険証廃止か?」「社会保障の後退」「年寄りはどうする」「病院の
窓口でトラブルが…」「企業から政治家や役人に賄賂が支払われているのではないか」「
監視につながる」「国内に住む人を一元管理することが不安」他。
◆何しろ紙の保険証を出し続けてほしい―介護現場から(小島さん)
・マイナ保険証を押し付ける前に国の介護への拠出金を増やしてほしい
現場にこれ以上の負担を強いるマイナ保険証の普及よりも、「低賃金過重労働=人手不足
の解消」が先と強調し、「介護保険を立て直して!」が現場の篤い思いという。
いま介護保険の予算の5割が個人の払う保険料で賄い、残りを国が2分の1、都道府県と市
町村が4分の1ずつ担っているが、国の負担分を6割に増額してほしいと申し入れているが、
受け入れられていない。実はこの数字は、今の与党が野党時代に提案していて、公明党
も段階的に引き上げると明言しているが、政権党になってからは言わない。
週刊金曜日(11月1日号)と、小島さんの自費出版のパンフレット、全国25%の自治体で
は介護保険のサービスが受けられないと驚きの実態などを指摘し、こんな介護保険の実態
なのに、マイナ保健証などにうつつを抜かす行政への怒りを語る。
◆マイナンバーカードの将来像 白石さん
・マイナンバーカードについて整理したものを示す。
◎全員が持つ「国家身分証・ID」→ということで、下記の機能を持たせる。
「監視社会化、警察国家化」
「本人確認~公的個人認証」
「医療DX2030~医療・保健・介護」
「マイナンバー民間利用の方向」
これを全員に持たせ、限りなく監視社会化に進もうとしているのが、日本の現状。
「本人認証…」は、民間にも開放しているので、公的なものだけでなく、民間も含め、本
人認証に利用させようとしている。
実際に、銀行預貯金口座にマイナンバーを紐づけするようになった。これは、アメリカや
韓国のように大量に盗まれる時代になって行くだろう。
市町村の中では、すでに業務に使われているので、これを戻すのは難しい。公的機関の中
にとどめることを要望していかなければならないのではないか。
特に「医療DX2030~医療・保健・介護」は、診療や投薬、検査など、1ヶ月に2億件近くが
入って来るので、どこかで間違えがあれば、あちこちで誤報が流れることになり、とても
危険である。今後も注目していかなければいけないと思っている。
◆ギャラリーから
・A:映像でもあったように、ここまで政府が強制する意味は?
白石:利権の問題が見える。デジタル化するにあたってのシステムの構築やカードの印刷
業に億単位の委託費が流れ、現政権につながるところに還流されていると思われる。
現在は、市区町村が独自のやり方でやっているものを2025年度中に全国一律にしようとし
ていることの裏が見える。
小島:「現場は困る」の一点しかないが、すでに1千万人の認知症+プレ認知症の方のい
る社会で、きちんとした管理が求められるカードを作るのは、よほどいいことが無ければ
出来ないだろうとしか言えない。
・B:新座市の病院では「これからも紙の保険証は使えます……今までの保険証の方が安
い」の張り紙があったが。
白石:安いのは分からないが、街の保険医の方々は、マイナ保険証に反対している。
ちょっと話は違うが、全国の病院では手術記録など、カルテのハッキングで、身代金要求
事件被害が多数起きている。電子カルテだけになれば、それを押さえられたらすべての記
録がなくなり、手術もできないので身代金を払う。デジタル化しても紙のファイルによる
2重記録は必須。
・A:マイナンバーカードやマイナ保険証などを止めるために、私たちはこれからどうし
たらいいか?
白石:今回は珍しく世論が盛り上がっている。介護の問題に加え、生活に密着したところ
にマイナンバーシステムが入ってきたから、市民が「アレッ?」となった。7、8割の人
が反対だと言っている。声を出していくということがとても大事。
新聞、テレビなどに「これ良かった」と数十本の反応で、再放送されたりする。まずは声
を出すことだという。
国保でない方は、職場の中で同調圧力がかかる。それをさせないようにしていくのが、も
う一つ大事なことだと強調する。
次回のレイバーネットTVは12月11日「映画と本で振りかえる2024年」