日韓労働者連帯の歴史に触れる〜『日本人 オザワ』シネクラブ報告

堀切@シネクラブです。

 2月4日、『日本人 オザワ』の上映会を、2月4日に開催しました。参加者は14名。レイバーフェスタで見逃したと言って、初めて参加して下さった方も多かったです。

 韓国KBSが制作した『日本に飛べ 連帯の道を ~サンケン闘争』(2022年レイバー映画祭で上映)の続編といえる本作は、1989年の韓国スミダに遡り、韓国シチズン、韓国山本、韓国ワイパーなどの韓国労働者の闘いと、それを一貫して支えてきた尾澤さん夫妻を軸に描いています。FAX一枚で全員解雇。明日からどうやって生きていいのか泣き崩れたという若き労働者たち。不安だらけの日本での遠征闘争も、いつしか「尾澤さんがいるから大丈夫」という確信をもって闘いとられるようになりました。レイバーネットを通じて、あるいは学生時代から尾澤さんは身近な存在だったという参加者は多かったですが、こんなに長い間韓国の人達を支えていたとは。「まさに『日本人 オザワ』のタイトルがぴったりの映画。自分はいろいろなことに関心を持ってきたけれど、何をしてきただろうかと考えさせられた」という女性参加者もいました。

 討論11名で、大いに盛り上がりました。サンケン闘争から一緒に闘い、この映像にも登場する後呂良子さんが「安い労働力を求めて使い捨てにしていく。スミダの頃からなんにも変わっていない。でも諦めず声をあげる。勝ち負けではなく行動を起こすことで、会社や社会を動かすことができるんだと思った」と開口一番。

 「韓国の製造現場も労働運動も、女性が支えていることがわかった」また「文化や歌を共有した運動が、韓国労働者の信頼を深めたのだ」という感想もありました。群馬の森の慰霊碑撤去に抗議する場面や、尾澤孝志さんの逮捕・有罪の場面をみながら、この数十年で日本社会はものすごい勢いで右傾化していることを、自分の体験を交えて語る人もいました。

 韓国のテレビ放送向けに作られているため、場所や時代が交錯し、若干わかりにくいという声もありました。また、もう少し解説があれば、わかりやすく観てもらえるのではないかという点として、たとえば、なぜこんなに韓国の工場は次々と閉鎖してきたのか。それは決して韓国経済が行き詰っているからではなく、安い労働力を求める日本の「渡り鳥的」な工場進出の結果なのだということ。韓国の人たちにとっては自明のことでも、日本に住む私たちにはまだまだ知らないことが多く、もっと歴史を学ぶ必要があると感じました。

 参加者の中には、さっそく自主上映したいと言う人もいました。この映画を深め、広げて行く一歩になったかなと思います。→自主上映のお問合せはレイバー事務局まで