10月12日(土)第50回レイバーブッククラブ読書会が開かれました。

テキストは『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆、集英社新書)。参加者は10人でした。本書は、ブッククラブのテキストとしては「珍しく軽め」で、そのためもあってか、逆に討論は活発で、話は弾んだ。

この本は、明治以後の読書史であり、他面読み手の労働史でもある点が面白い。「階級」の概念が「階層」のそれと区別なく使われていたり、読書のために「半身」で働くことを勧められ(最後の章)ても、それは不可能だから働くものは格闘している。著者への反論 はあるが、とにかく本を読まない状況があり、しかもそれは急速に進んでいる。それをなんとかしようとの著者の訴えは理解できる。「読書はノイズ」との指摘も若い人と読書会をしていると、関連する論点の紹介や話の脱線を嫌がる傾向が強く、画像をザッピングし てみる風潮にも通じている。読書会を開き自由に討論することが、読書離れの現状を変える一助になるかもしれない。

最後に次回日程は年明けの2025年1月11日(土)としました。

テキスト候補を募ったところ『ストリートの思想(増補新版)』(毛利嘉孝)、『戦場の希望の図書館』(デルフィーヌ・ミヌーイ)、『別れを告げない』(ハンガン)、『戦友会狂騒曲』(遠藤 美幸)『、女の子たち風船爆弾を作る』(小林エリカ)、『増補 新版韓国文学の中心にあるもの』(斎藤真理子)、『誰も書かなかった統一協会』(有田芳生)などが上がりました。(志真秀弘)