8月19日から21日まで、レイバーネットの夏期合宿と「秩父事件」フィールドワークがあった。参加者は多彩で延べ18人が参加した。場所は埼玉県「武州長瀬」のSCATセミナールーム「毛呂分室」(写真・館長=金野正晴さん)。一日目の最初のプログラムは松原明さんによる「メディア実践講座」で、この日は初めてビデオカメラを手にした二人の参加者向けに、30分の集中講座があった。
その後、福島からの参加者、鵜沼久江さん、坂口美日さん、黒田節子さんから、福島の現状のお話を伺う。自公政権に変わった時の「復興の加速化」といわれ、ビックリ。やはり心配した通りの切り捨て。除染に次ぐ除染のもたらすものは何か? ゼネコンが除染でさんざん儲けたこと、そして被災者切り捨てが加速していることなどが語られた。終わって、夕食はバーベキューを楽しんだ。
夜は、山形県白鷹町の映画『出稼ぎの時代から』を上映。秋以後に上映会方式での上映始まる。1960年代の出稼ぎの当時のスライドを基にし、現代の農村問題を描いた映画だった。
2日目の8月20日は、土田修さん推薦の映画『テロリストは僕だった』(監督=大矢英代さん)を上映。午後からは、ハンセン病の実態を詩人の塔和子さんを中心に記録した貴重な記録映画『風の舞』(監督=宮崎信恵さん)を見る。涙が止まらない。一人で見ていたら、オイオイ泣いたかも! 上映後の宮崎さんの話がよかった(写真上)。
恒例川柳の時間は、参加者のほぼ全員が国葬と統一教会の兼題二題で参加。なかなかユニークで楽しかった。夕食後は、明日(21日)のフィールドワークに備えて『草の乱』を見る。秩父困民党はなぜ蜂起せざるを得なかったのか? 日活映画で予備知識を得る。(笠原眞弓)
<参加者の感想>
●刺激的で楽しい2日間でした 宮崎信恵
練馬の友人に誘われて初めての参加でした。私はレイバーネットの活動そのものについてはあまり詳しくなかったのですが、今の理不尽な政治に対する怒りと変革のための活動をそれぞれの場で進めている人たちが集い、話し合い、学び合い、親睦を深めあう場。初日は、自分たちで映像を撮る場合の簡単なレクチャーの後、福島原発の今日の闘いについてのシンポジウム。帰還政策が進められている中でのまやかしを現場で闘っている人たちの生の声を聞くことができ、問題の深刻さを改めて考えさせられました。
夕方からはバーベキュー。支援者からの差し入れの和牛や、福島から埼玉に避難し、そこで農業を続けている方からのたくさんの新鮮な野菜はとっても美味しかったです。その後、坂戸にある温泉に。天然温泉の湯煙にのんびり命の洗濯。そして夜は映画鑑賞。1960年台の出稼ぎ労働者の姿を追ったスライドをベースに、その後の国の農業政策に翻弄され、疲弊していく姿を山形県白鷹町に追った『出稼ぎの時代から』の上映。19歳で出稼ぎで川崎に来て、その後は故郷に帰り、町議として農村改善運動に関わってきた本木勝利さんが制作、監督した作品。まだ完成品ではないそうですが、自給率が極端に少ない日本の農業のあり方を真正面から取り上げた貴重な素晴らしい映像だと、いろいろ考えさせられました。
翌日は、午前中も映画鑑賞、『テロリストは僕だった』。そして午後は、私の『風の舞』の上映。6月に静岡県小山町の上映会に来てくれた橘さんが是非、レイバーネットの合宿で上映したいというので、DVDを貸していました。この2日間、参加者に「国葬」「統一協会」をテーマに川柳を作ることが宿題として出され、夕食前にその講評と、優秀賞の選定がありました。私も、小冊子の賞品をもらいました。
食事作りはみんなで分担。そして後片付けも。でも、幹事の方は材料の仕込みから献立作り、後のゴミの始末など、すごく大変だったと思います。私は初めての参加でかなり緊張していましたが、みんなとっても気さくな、良い方たちばかりで、緊張もすぐに解け、刺激的で楽しい2日間を過ごすことができました。初めての参加でしたが、映像をベースにタップリ語り合う貴重な場でした。こういう試みは本当に貴重だと思いました。
●4本ともズシンとくる映画でした 黒田節子
映画を4本も見て、それぞれがとてもズシンとくる、うならせる作品でした。鑑賞後の討論もいいね。もっとしたかったけど…。食事もすごい美味しかった〜。鵜沼さんが野菜持ってきてくれたんですね。それから、秩父困民党事件にまつわる勉強とツアー。ハードスケジュールでしたが、わずか140年ほど前にこのような決起があったことを写真や絵・文献を垣間見て、胸に迫ってくるものがありました。企画・案内してしてくださった皆さんに感謝です。期待に違わない合宿でした。
*8/21の「秩父事件」フィールドワークについては、別途報告を予定しています。