報告=堀切さとみ(合宿担当者)
自然豊かな埼玉県毛呂山町。ここで開催しているレイバーネットの夏合宿も、今年で七回目となった。乱鬼龍さんが模造紙に書いた看板が近所の目をひく。
スキャットセミナールームのオーナー、金野正晴さんから「ハチの巣が三つもある。退治しないと危ない」との連絡。こんなことは初めてだとのこと。自然環境の変化で、民家にクマが出没することを考えれば、蜂の巣くらい当然か。
対策を考えているうちに、待ち合わせ場所の武州長瀬駅には参加者が続々と集まってきた。初参加者多し。今までで最高かも。
ケガで入院→リハビリして参加してくれた仲間も。伸び放題の草に、足を絡ませて転ばないでほしいと祈るような気持だったが、ご本人は「自然のままが一番よ」とニッコリ。
エアコンと三つの扇風機を回しても、教室はものすごい熱気。
はじめに自己紹介。30人近いのでなるべく短くと願うが、初参加者も含めて物おじしない面々。今年は同じ埼玉県北部から「げんぱつとめよう秩父人」の三人も参加してくれた。
今回一つ目の講座は、『週刊金曜日』の編集人・岩本太郎さんが、現在のメディア事情について話してくれた。彼は2008年に三分ビデオ講座を受講した仲間でもある。雑誌業界の内情が知れておもしろい。地方の大学を出て上京してからの自身の半生を、岩本さんはまるで講談のように語るので聞き惚れてしまった。
二つ目はジャーナリスト・西里扶甬子(ふゆこ)さんによる「能登リポート」。731部隊、戦後補償、そして福島第一原発事故後はドイツテレビで『フクシマの嘘』を発表した西里さんだが、組織に束縛されることなく個人でビデオカメラを回す楽しさについても話してくださった。
ちょうど一年前のこの日は、福島から汚染水が海洋放出した日でもあり、橘優子さんが手作りの横断幕を持参。そして記念写真。
双葉町から加須市に避難を続けている鵜沼さんも、松坂肉と野菜、最近ハマっている渓流釣りで釣ったイワナを届けてくれた。にもかかわらず、台風に備えて畑仕事を片付けなくてはならないとトンボ返り。残念だ。
遠くで雷音も聞こえたが、バーベキューも盛り上がった。火を起こす人、野菜を切る人に分かれて準備。美味しい煙がたちこめても、蜂たち(スズメバチか、そうでないのかも判明できないまま)はおとなしくしてくれていた。
初めて参加してくれた40歳の青年。能登町の出身で、この三が日を震度七の実家で過ごしたという。子どもの頃は夜七時には真っ暗になる町が嫌で、18歳で都会に出てきたが、今回の震災でいかに故郷が見捨てられているかが身に沁みた。父親は今もひとり、実家に暮らしている。近所は住めなくなった家も多い中、ここから離れる気はないと。でもこの先どうなるのか。話は尽きない。
日帰りの方々とは、ここでお別れ。それでも20名ほどが宿泊する。みんな汗だく。近くの温泉に行くにはタクシーを呼ばなくてはならず、希望する人は誰もいない。シャワーくらいは浴びてくれたと思うが、どーだか。オーナーの金野さんが、ひとりで布団干しすることを考えると胸が痛みます。
ゲバラТシャツを来た石垣敏夫さんが「労働組合の歴史」についてレクチャーしたいということで、再び教室で討論会。(有志のみ)
現役世代のことを知ってもらいたいと思い、『バスドライバーにあこがれて』を観てもらう。石垣さん、唸っていた。それでも「一つの職場に一つの組合を」という持論は譲らない。世代間の交流の必要性を感じた。
別室では明日の川柳講座に備えて、短冊を前に575を考える人アリ。
夜通ししゃべるのが楽しみで、この合宿に来るという人もいる。そんな人たちをセミナールームはやさしく包み込んでくれた。
8月25日(日)合宿2日め
朝食のカレーを前日から仕込んでおいたものの、米がない。毛呂山町のスーパーはどこも品切れだそうだ。さいわい期限切れ間近のアルファ化米があるというので一安心。ヒト騒動だったが、朝6時まで台所で論議していたチームは、朝食時間を迎えるころに眠りについたようだ。
アルファ化米は、ガスや電気がなくても水さえあれば食べられるが、炊飯器で炊けば一層美味しい。炊き立てよりも時間が経ってからの方が本来のコメに近くなるようだ。その際、浸水しないこと、早焚き機能で炊くこと。
9時から恒例の川柳講座。笠原さんと乱さんの二人が久しぶりに並ぶ。
お題は「八月」「責任」。初めての人も入選する可能性が高いこのコーナー。乱さんがそれぞれのお題について、入選6句特選一句を発表したが、筆跡だけで作者を当ててしまうのには驚いた。
そして次は、レイバーネットТVでも特集を組んだコロナワクチン~巨大製薬会社の闇についてさらに考えるために、映画『ナイロビの蜂』(2005年/イギリス)を上映&討論した。2時間以上の長い映画だったが、ファイザー社がモデルであること、また日本だけが強制的に実施しようとしているレプリコンワクチンの怖さについて、根岸さんが解説し、大いに議論となった。
昼食を準備していると、夜勤を終えた前田さんが神奈川から駆け付けてくれた。それで、懸案だった蜂退治を決行することに。前田さんを含めた男性陣、原発作業員並みの防御で、三つのハチの巣を網で押さえて薬剤を噴霧。自然との共生は難しい。ともあれ、無事に済んでよかった。
ハチャメチャ感を残しつつも、そういうのが嫌いではないという人たちが集まってくるのだろう。勝手にそう信じている。
名残惜しく、最後に残ったみんなで記念写真。来年もまたやります。