レイバーネットTV速報:「もっといい人生、もっといい社会」映像の挑戦

 12月13日、レイバーネットTV(194号)今年最後の放送は「映画と本でふりかえる2023年」を放送しました。本は志真秀弘さん、映画は永田浩三さん(武蔵大学教授)と笠原真弓さんに出演していただき、どちらのコーナーも愛情あふれる話を聞くことができました。

 関東大震災100年という今年、映画『福田村事件』が大ヒットしましたが、そこに至るまでには歴史の掘り起こしに尽力した書物の力があったと志真さんは言います。今年のイチオシとして挙げたのは『それは丘の上から始まった』『福田村事件ー関東大震災・知られざる悲劇』『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相』の三冊で、いずれも著者は研究者やジャーナリストではなく市民でした。朝鮮人虐殺を認めない、あるいは、ナチスの手口を評価するといった歴史修正主義が跋扈していますが、市民の側がきちんと検証していく動きがあり、変化の兆しが見えた一年だったと振り返りました。

 続いて映画コーナー。いつも以上に話題作、問題作が多かった中で、永田さん、笠原さんの両者が力を込めて推薦したのが、塚本信也監督の『ほかげ』でした。戦争がいかに人の心を破壊するか、戦争とはいったい何なのかが、深く刻み込まれる作品だと絶賛。『福田村事件』や津久井やまゆり事件をモチーフにした『月』など、論議を巻き起こした映画にも言及し、永田さんは「たしかに問題はあるし、もっとこうしたらよかったということは言える。でも映画人たちがタブーに切り込んだのはすばらしい。第二作、第三作でもっと深いものができるだろう」と語りました。映像制作を学生に教えている永田さんならではの言葉ですが、同時に私たちも映画を観るとき「こうしたらもっと良くなるのでは」という視点を持てたらいいなと思いました。

 11月に亡くなった脚本家・山田太一さんも、「挑戦し価値観を揺さぶった人」だったと永田さんは言います。「日常に安住するだけじゃダメだよ。もっと人生は素晴らしいし、社会はもっといいものにならなきゃいけない」という山田太一のメッセージは、映画、ドラマという枠を超えて引き継がれなければいけないし、頑張っている作り手は沢山いる。その言葉に元気をもらえた気がします。

 他にも、津波によるPTSDを描いた『さよならホヤまん』や『翔んで埼玉2』『ゴジラ-1.0』などバラエティーに富んだ映画案内が満載。ぜひアーカイブをご覧ください。今年もあとわずかですが、きっと映画館に足を運びたくなりますよ!(堀切さとみ)

〈詳細報告〉 笠原眞弓

思いを受け継いで語り合いたくなる本や映画たち             

 この世から、本や映画、テレビドラマがなくなったら、なんと無味乾燥な世の中になるでしょうか。私たちは、無意識にそれらの作品を通して、知らない人ともコミュニケーションをとっていると、つくづく思った時間だった。(報告:笠原眞弓)→アーカイブ録画:https://www.youtube.com/watch?v=1rhJdwVdJrY

構成・司会:堀切さとみ

【第一部】本のコーナー

ゲスト:志真秀弘さん(レイバーブッククラブ)

◆あなたは本をどこで買いますか? 最近の本屋事情

ネットなどで簡単に本が買える時代になって、本屋さんが閉店していっている。その中で志真秀弘さんは、書評家の永江朗が「新しい動きとして、カフェ&ブックのような本が読める空間の提供や、本を挟んだイベント会場などと様々な試みが全国的に広がり注目されている」と述べていると紹介し、志真さんも同感で、その場が読者を育てていく役割もするという。

◆公募一押しの本アンケートの結果報告発表

今年は、10名の方からの「今年のお薦めの1冊」の応募があり、その報告があった。

(本と映画のアンケート結果は下記掲載↓)

◆志真秀弘さんのお薦めの3冊

志真さんのお勧めは、100年前の東京大震災時の朝鮮人虐殺関連の3冊である。

・『それは丘の上から始まった―1923年横浜の朝鮮人・中国人虐殺』後藤 周 (著)/ 加藤 直樹 (編集)

・『福田村事件―関東大震災・知られざる悲劇』辻野弥生著

・『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相』関原正裕著

『福田村事件』の著者、辻野弥生さんは「図書館の友の会」で活動していて虐殺事件を知り、追及していったいわば市民活動の中から生まれた本で、そこが優れたところという。

『それは丘の上から始まった』の丘の上とは、これまで被災に関してほとんど明らかにされてこなかった横浜の被災状況と朝鮮人虐殺を丁寧に、実証的に描いている。

『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相』は、埼玉の出来事。東京の被災はこれまでも多角的にとらえられているが、この3冊で、千葉、神奈川、埼玉の3県の震災の様子が見えてくる。

著者はそれぞれ専門のジャーナリストや研究者ではなく、『それは……』の後藤さんは中学校の先生、『関東大震災…』は高校の先生で、『福田村事件…』と合わせ3冊ともそれぞれの活動の中で生まれたことが共通した特徴という。

松野官房長官や小池都知事らの様子でも分かるように、当面は政府の側で歴史的事実を掘り下げていくことがあり得ない中で、市民の自主的な活動からこのような作品が生まれたことは、注目すべきことだという。

◆変化の兆しが見えてきた1年 『ナチスは「良いこと」もしたのか』他

以前「ナチスの手口を学んだらどうか」と麻生太郎が言ったが、なんとなく”一つの出来事” として過ぎて行った。ところがそれを厳しく批判する人がいる。『ナチスは「良いこと」もしたのか』(小野寺拓哉・田野大輔著:岩波ブックレット)によると、麻生のたまたまの発言ではなくて、底流として歴史修正主義の果てに出て来た発言で、アンケートにもあった(小野政美推薦)『<悪の凡庸さ>を問い直す』(田野大輔・小野寺拓也編著)と共に優れた本だと思う。どう変化するかはともかく、(いい方向への)変化の兆しが見えてきたと言いたい。

例えば、次の2冊。

①『地域主義という希望』岸本聡子著

②『コモンの「自治」論』岸本聡子・斎藤幸平・松本卓也他の共著

この2冊とも今年のレイバーネットのブッククラブで取り上げた。

『地域主義という希望』は、杉並区長になった岸本聡子さんの著書。『コモンの「自治」論』は、岸本さんを含め、斎藤幸平・松本卓也等の共著の2冊。これらは、新しい提案が含まれ、考えさせられるいい本だと思う。

◆実際活動から生まれた本の中から3冊

・『自分で考え判断する教育を求めて―日の丸君が代をめぐる私の現場闘争史』根津公子著

・『なぜ日本は原発を止められないのか?』青木美希著

・『私たちは黙らない』平和を求め軍拡を許さない女たちの会 関西(編集)

これらの積極的な問題提起を含んだ本が出版されたことが「変化の兆しが見えてきた」という意味でもある。

レイバーネットのHPでは、更に〔週刊 本の発見〕というページがあり、かなりの冊数が紹介されている。(http://www.labornetjp.org/Column/)

堀切さんは、政府は歴史を掘り起こすということをしないので、市民が証言を集め、本や映画にしていく、画期的な1年になったと思うと。志真さんは、来年はコロナが明けて活発に動ける条件が出来てきたがそれだけではなく、地道な長い活動が実を結ぶ、あるいはそれを手掛かりに前に進み深まっていく、そんな機運が様々な分野で生まれてきていると希望を持っていると志真さんは言う。

【第二部】映画のコーナー

ゲスト:永田浩三(武蔵大学教授/ジャーナリスト)

    笠原眞弓(レイバーシネクラブ)

◆コロナの3年、意地になって映画館に通っていたが、最近はお客さんが入ってきた。議論の巻き起こる映画が多かったと、永田浩三さん。

先ず、今年は15名の方からのアンケートを読み上げる。

本と映画のアンケート結果は下記掲載↓

◆『さよならホヤまん』—―大きな被害の陰の小さな被害……でも人生がひっくり返るほどだ

笠原の推薦は、『さよならホヤまん』(庄司輝秋監督)。

東日本大震災の被害というと、当事者でないとつい大きな被害にばかり目が行くが、実は一人ひとりの生活がひっくり返されるような事象があり、それの被害の大きさに大小は付けられないということに気づかされた。そして登場する人がみんなやさしい。

永田さんは補足して、石巻の漁師の話であること、両親が津波で亡くなり、残された兄弟の弟は船に乗れないこと、彼は、放送中の朝ドラで、亡くなった兵士の役をした黒崎煌代さん。

面白いけれど、胸に沁みる作品という。

◆永田浩三さんの推薦映画の紹介/『福田村事件』は関東大震災の最初の劇映画

先ずなんといっても『福田村事件』(森達也監督)ということだ。ある上映会では、パンフレットが飛ぶように売れていて、アフタートークでは著者の辻野弥生さん、脚本の井上淳一さんで盛り上がった。香川からの行商の人たちがお腹の赤ちゃんを含めて10人が亡くなった。それ事態は、歴史的事実だが、原因が分からなかった。20年前に永田さんが地元のお寺を訪ねている。当時地元の市川正広さんたちが調べて、2003年に追悼碑を残した。その後辻野さんが調べて本になった。

永田さんは続けて、この映画についていろいろ言う人はいるが、これまで関東大震災を取り上げた劇映画があっただろうかと投げかける。俳優さんを含め、その勇気と努力に拍手を送りたい。またコロナの3年の映画館にとって、この映画のヒットで、地方の映画館が一息付けたことも評価したいと。

ただし、行商やハンセン病の描き方や特に被差別部落がネガティブな影響、例えばカッコつきの聖地巡礼が起きていて、被害を被っている様子を語る。例えば、讃岐弁を朝鮮人と間違えてということになっているが、本当にそうなのか分からないと。

資金難を覚悟して、かかわったみんなが手弁当で頑張ったとか。そうして生まれた映画だから、欠けたるものを次の映画人が引き継いで、更にこのテーマをそれぞれ描いて行ったらいいのではないかと暖かく語る。この映画に関しては、討論会をしたいという動きがあちこちであるのも特徴。

◆戦争によるPTSDを描いた『ほかげ』他

『さよならホヤまん』が津波のPTSDなら『ほかげ』(塚本晋也監督)は、兵士や市民などの受けた戦争のそれであると永田さん。流された予告編のほんのわずかな映像でも主役の売春婦を演じた趣里と、片腕の動かない森山未來(二人ともブギウギに出演)の演技。それを超える戦災孤児の少年の目の力に凄みを感じると。

兵士は学校の先生で、さんすうの教科書をお守りとして持っていて、男の子に教えていたが心が壊れていた。趣里演じる女は、最後に男の子に言う。「坊やしっかり生きてね。危険なことはしないで、ちゃんと自分で働いてご飯を食べるのよ。約束よ!」と叫ぶ。いま、ウクライナやガザで子どもや女性たちが殺されていくのを見ている我々は、戦争をするとこんなひどいことになるということを、今の問題として語っていると思う。

◆塚本晋也監督はなぜ『ほかげ』を撮ったのか

塚本監督は『野火』『斬』を加えた3部作として位置付けているが。それはどういうことか?と堀切さん。

永田さんは答えて、1部で四國五郎を書いた「本」の紹介があったが、広島で四國五郎の弟に向けた映像が作られ、木内みどりさんと塚本さんが語りをしている。その上映会で塚本さんが、ベトナム戦争の時に人を殺した傷をずっと抱えていたアラン・ネルソンさんの講演と本を読んで「戦争の傷」を映画にしたいと話した。その中で今回の映画ができていると思うと。

笠原は、あの映画の圧倒的力を語る。兵士の苦しさは、戦場だけでは終わらない。戦地での自分のしてきたことの始末ができず、2、3代にわたる苦しさを日本ではこれまで取り上げられてこなかったが、最近表に出てきた。それが戦争の現実だと知っていたいと。

戦場でのPTSDを抱えた復員兵の次世代が、語るようになってきた(黒井秋生さんなど)が、戦争は終わっても個人の中では終わらないこと。

日本では、上官の命令で人を殺しても上官は罪に問われないが、手を下した人は戦犯となる。

『ほかげ』では、森山未來が上官への仕返しをしに行くと永田さん。

新たな戦前と言われている今、是非若い方に見ていただきたいと口々に言う。

◆『月』の果たした挑戦を更に深めて2作目、3作目を重ねてほしい(石井裕也監督、辺見庸原作)

『月』は衝撃的な作品だった。この国の平和のためにとやまゆり園で起きた事件を真正面から取り上げている。「言葉を発することが出来ない人」=「意思疎通の出来ない」人だったのか?よくきけば、言葉以外の方法で日常的にはコミュニケーションは取れていたとやまゆり園の職員は言う。映画の中に意思疎通は出来ていたと強く言う人がいたら、どういう映画になっていたかと思うと永田さん。

堀切さんは、映画では、深い森の中に施設があり、市民と関係なく生きている。その闇の中で職員も障がい者も現実から疎外されて生きている。

永田さんは学生時代、重度障がい者の施設実習があり、思い悩んだり、殺してしまったりすることに、少し感じることもあるけれど、監督が理解しようとしたことは見えたが、更に作り続けて、深いものになってほしいと思うとしめくくる。

◆『翔んで埼玉2』の面白さ 映画は家族で、友だちと楽しむものがあっていい(武内英樹監督 二階堂ふみ/ GACKT)                                                  

大阪の首長が片岡愛之助で神戸が藤原紀香(実生活では夫婦)というのもおもろい。大阪維新の会や万博に入れあげたりタイガーズ愛などで、揶揄されている。「埼玉に海がないから作ろう」ということから紀伊の白浜に砂を撮りに行くことから始まる。

堀切さんは、劇場の場所によって受けるところが違うと笑う。永田さんも、滋賀も奈良も和歌山も兵庫も一段下に見られるということはなく、大阪の方が、こんな町どうしようもないと馬鹿にされている感があった。誇り高き滋賀県民という感じ。

◆ナチスドイツの映画の3部作『ゲッベルスと私』『ユダヤ人の私』『メンゲレと私』

3部作それぞれがナチスのやり方とその崩壊について描いている。最新作の『メンゲレと私』では、9歳から13歳までをゲットーと収容所で過ごしたダニエル・ハノッホの証言である。非人道的な人体実験を繰り返したメンゲレの寵愛を受ける。

この過酷なホロコーストに耐えた人たちが、イスラエル建国へつながっていくのだが、映画は抑制的で「イスラエルが素晴らしい」などとは描いていないと永田さん。続けて、中東から離れた我々が「どちらにも言い分はあるよ」と言えば、それは違うよということになるという。

3部作全部観た笠原は、この『メンゲレと私』は、子どもの記憶はぶれることがないから、信用できるのだが、なぜ彼は死の扉に行かなかったのか、考えた。

3作とも間に映像が挟まる。アメリカの宣撫政策用の映像など、初めて見るものもあった。

◆差別排外主義とその真逆の劇映画の『ヨーロッパ新世紀』『丘の上の本屋さん』を紹介

『ヨーロッパ新世紀』はルーマニア一地方で、ハンガリーの人たちと共存していたところにスリランカの季節労働者が入り、パンを焼く。ところがスリランカ人のパンは食べられないと排除する。その先頭に立つのが、地域のインテリと言われる神父や医師など。それが圧巻!

『丘の上の本屋さん』は、ユネスコがかかわっている映画。イタリアの田舎町の古本屋さんのおじいさんと、ブルキナファソから来た移民の男の子の物語。お金のない少年におじいさんが、1冊ずつ本を渡す。ピノキオとか、星の王子さまとか。最後に渡すのが『世界人権宣言』。この本こそ君を守ってくれる宝物の本と。戦争の今の時代に、この人権宣言がどんなに大事か訴えていると静かに永田さんは語る。

笠原は、本を渡すとき、これまでは必ず返いようにといっていたのに「返さなくていい」というところに込められた意図を感じると。

◆最後の1点はなんとゴジラ!『ゴジラ -1.0』(山崎貴監督)

永田さんはこれだけは言いたいと、『ゴジラ -1.0』を紹介。元祖ゴジラは、水爆実験によって生まれたゴジラ。-1.0とは、その前の1946年にビキニ環礁で戦艦長門を標的にした原爆実験があった。その時に生まれたのだという。

(戦艦長門は1945年9月15日(米軍に接収・除籍)。1946年7月29日、戦後米軍の原爆実験にて沈没)

映画では『らんまん』の神木隆之介と浜辺美波の二人が、全く違うキャラクターで出演する面白さもある。

◆シナリオ作家山田太一さんを語りたい

先ず取り上げたのが『早春スケッチブック』。永田さんの簡略な筋書きを聞きながら、人生の複雑さを思う。山田太一は様々な挑戦をしていて「ホームドラマはお茶の間にやって来る日常だが、それに安住してはいけない。人生はもっと素晴らしい」とテレビを通じてグラグラと揺さぶって来ると。

『男たちの旅路』にしても、説教を垂れていた特攻隊の生き残りが、若者たちに逆襲される。

また、社会の変化にも敏感で、1979年に放映された『車輪の一歩』は、駅の階段の下で車椅子の女性が「だれか私を上げてください」と叫ぶ。障がい者運動のステージが上がるときにも、山田太一ドラマは大きな貢献をしたと。

他にも、子どもを産むか産まないかの会話の中で「子どもは宝だ」と言っているとき、笠智衆に「子どもはつまらん」と言わせたり。

山田太一さんは、俳優にアドリブを許さず、シナリオを大事にしたとか。山田さんは、木下恵介さんに鍛えられて、松竹で助監督もした人。向田邦子さんと倉本聰さんの3人で日本のドラマを豊かにし、脚本家の地位を向上させたという。

◆会場からの質問

・今のテレビ作品でいいのはありますか?

永田―「ブギウギ」は素晴らしい。あれは戦争が如何に芸能を弾圧するかも描いているし。NHKがダメになったのではなく、それぞれの現場が頑張っているし「どの時代にもいいものはある」という立場だと永田さん。応援団でありたいと思っていると。

例えば、ゴジラの映画にしても、映画表現としての技術の高さには、すごいものがあるが、問題は、ゴジラは何で東京湾に来たのか、ゴジラは何と闘うのか、という骨太の脚本が書けるかいうこと。1954年の製作者たちは、再び核兵器の犠牲になる人が出ていいのかと怒っている。国会の場でもゴジラで啖呵を切るほど映画に力があったと永田さん。

山田太一さんに話を戻せば、テレビドラマは映画より一段下だという価値観に対して、果敢に挑戦していた。例えば、現場で役者の希望でコロコロセリフを変えられる屈辱を経て、セリフを変えさせなとか、戦国武将ばかりの大河ドラマに、庶民も描けると秩父困民党の物語を投入する。視聴的には負け戦だったかもしれないが、歴史に燦然と輝いている。

・「私はモーリン・カーニー」についてギャラリーから

フランス政府が95%株を持っていたアレバ社の、中国との技術提供をするという密約から発した映画があった。紹介で出てこなかったので、感想を!

永田さんはアレバ社と中国との密約がテーマで、労働者を守る映画と紹介。その秘密を暴いたので、レイプを受ける。そのレイプが自作自演ではないかと一蹴されるが、負けずに闘う。今でもフランスと中国の原子力産業は深い関係にあり、今日的問題だ。そこをもっと描いてくれたらなぁと思う。結局今度の福島の事故を受けてアレバは方針転換をするが、そこは描けていないと。

◆最後に一言ということで

・笠原は『グレート・グリーン・ウオール』を勧めたい。

これは温暖化防止に取り組むアフリカのサヘル地方の取り組みで、マリ出身のパリで成功した歌手インナ・モジャが、そこで暮らす人の言葉を紡いでの音楽もいいし、紛争中の国もありながら、複数の国がかかわり、自力でやり遂げようと努力しているところに感動する。永田さんも言葉を添えて、セネガルからエチオピアまでの緑化運動を取り上げたもの。グリーンウオールを、20年、30年かけて作っていき、地元で生きていけるようにしようという映画と。

・永田さんは、今年の山形映画祭が久しぶりにリアルであり、それがまた、来年再来年に上映されていくことを楽しみにしている。

今後のレイバーネットTVは、1月はお休みで2月から再開予定。