「2024春闘を問いなおす!-連合春闘・非正規春闘の現場から」

放送アーカイブ(70分)

 4月10日のレイバーネットTV198号は、「2024春闘を問いなおす!-連合春闘・非正規春闘の現場から」と題して放送された。この日は「レイバーネットTV・オリジナルTシャツ」が初披露され、賑やかなスタジオとなった。

 ゲストは毎日新聞・労働記者の東海林智さん(写真左)と、首都圏青年ユニオン「回転寿司ユニオン」の吉田帆駆斗さん(右)。まず、東海林さんの解説で2024春闘を振り返った。ポイントは「大企業労組“過去最高水準”をどうみるか? 中小への広がりはあったのか? 非正規春闘はいかに組織され、闘ったのか」である。

 大手の回答では、平均1万6379円で5.25%の賃上げがあり、「よかったムード」の報道が続いていた。しかし東海林さんは、「これは勝ち取ったものだったのか」と苦言を呈した。「今回は春闘前から、政・経・労の三者は賃上げで一致していた。出来レースと思えて仕方がない。団交をやる前に賃上げが経営側から決められてしまい、真剣な交渉・たたかいを通じて実現したものではなかった。団交が形骸化されている。その一番の例は、日本製鉄の賃上げが、組合要求の3万円(二年分)に対して、会社回答は35000円だったのいうものだ。回答が要求を上回るなど考えられない」。東海林さんは、米国の全米自動車労組(UAW)の賃上げを引き合いに出した。「UAWはストライキを構えて、4年間で40%の賃上げを実現した。賃上げだけでなく臨時工の正社員化も認めされた。こうした世界の流れを考えると、日本の春闘の復権は道半ばと言わざるをえない」と強調した。

 番組の後半では、「非正規春闘」をたたかった「回転寿司ユニオン」分会長の吉田帆駆斗さんが、大いに語った。吉田さんは現在20歳の学生で、高校生からスシローで働いている。なぜ非正規春闘に参加したのか?と東海林さんに問われ、こう答えた。「仕事はすっごく忙しい。それなのに機械導入すると人員を減らす。働きに給料が見合っていない.たたかうしかないと思った」。かれの時給は1200円だったが、2年ごしのたたかいで1400円にまで引き上げることができた。16.7%の賃上げである。スタジオには「すごい!」と驚きの声が上がった。

 東海林さんは、みんなが聞きたいことを質問した。「20歳なのに、こういう問題意識をもったのはなぜですか? 親の影響ですか?」と。吉田さんはこう答えた。「親ではありません。小学生のときから反抗心が強かったのです。中学生のときに国労のスト権ストの本を読んで、感動しました。そこで労組の大事さ、必要性を理解し、労働組合に憧れていました。だから、ユニオンに入ったのは自然でした」。東海林さんは「労働者魂ですね」と返した。

 この日のレイバーネットTVは、「ジャーナリスト魂」のベテラン東海林記者と「労働者魂」の若き吉田さんがコラボする形の貴重な番組となった。シニアが多いレイバーネットTVスタッフも、元気をもらっていた。また東海林記者は、レイバーネットTVが5月で200号を迎えることを知り、ぜひ紙面で紹介したいと申し出た。うれしい198号の放送となった。(M)

→「回転寿司ユニオン」ホームページ
https://www.restaurants-union.org/kaitensushi-union