堀切さとみ
6月12日に放送されたレイバーネットTV202号『新型コロナからみえてきたもの』は、ジャーナリスト・天笠啓祐さんと、ワクチン被害者の池口歩さんが出演し、素晴らしい内容だった。
少し前まではワクチンへの批判的な見解はネット上でも削除されてきたが、被害者があまりに多いことから少しずつ報道規制は緩和されてきた。とはいうものの、世界中に広がった感染症に対する総括は、全くといい程なされていない。
5類になったとはいえまだ収束していないのだから、コロナの総括など早いという人もいるかもしれない。しかし、歴史的にみて日本の感染症対策がなおざりだったということは、すでにはっきりしている。「医療は国民のためではなく、巨大製薬企業のためにある」。このことを裏付ける政策の中にコロナ対策も位置付けられていて、本来なら10年かかるワクチン開発がわずか一年で世に出てしまう恐ろしさを、天笠啓祐さんは2020年の発生当初から予期していた。
四度目のワクチン接種から体調不良が続いている池口歩さんは20代。不安を感じながらも職場で半強制的に打たざるを得ず、接種した直後から倦怠感やブレインフォグ、めまい、息切れ、脱毛など全身のあちこちがおかしくなった。それ以前はまったくの健康体だったのに、休職から退職を余儀なくされた。いくつかの病院を回ってワクチンの影響だと指摘され、自分なりにいろいろ調べるようになったという。
池口さんはパネルを示しながら、疑問に思うことを語った。
新型コロナワクチンによる副反応被害者は、従来のワクチン被害者と比べてケタ違いに多いこと。日本の人口動態調査による死亡者数は、2020年を境にワクチンの回数が上がるほど増えていること。追加接種した人が断トツに多い日本に対して、ワクチン接種率が低いアフリカでは、コロナによる死者が少なかったことなど、彼が示したデータはすべて厚労省やNHKが出したものである。これらをみれば「感染症はワクチンで防げるのか?」と疑問に思わない方がおかしい。
私の体験をいうと、職場でワクチン接種を強制されることはなかった。最初は「人体実験だよね」と拒んでいた同僚も次々と接種するようになり、やらない私は変わり者扱いだった。副反応は当然のこととされ、接種後に熱が出たりしたら職専免で休めるようになっていて、ほとんどの同僚がこれを利用していた。そんな中で、2022年夏に職場でクラスターが発生し、私を含めて多くが感染したが、打っていない私だけが「よく重症化しなかったね」と心配されたり不思議がられたりした。
ワクチン接種は「国が言うことに従うかどうか」の踏み絵のようなものだった。だから、正しいかどうかの検証はおろか、触れることそのものが憚られるのだ。私自身もこのことについて積極的に語ることを避けてきた。天笠さんと池口さんをみて、データに基づいた科学的な検証するという当たり前のことがいかに大事なことであるかと、あらためて思う。
ワクチン被害者への救済制度もあるが、被害者と認定されるまでのハードルは高い。池口さんでさえ「手続きに行くよりも家で寝ていたい」という。それほどに倦怠感はひどいのだ。現在、新型コロナワクチンの被害者認定数は7384人というが「その100倍はいるだろう」と天笠さんは言う。
「ワクチンに効果はなかったことを国は認めるべきだ」という天笠さんに続いて、司会の根岸さんが最後に訴えた。「紅麹で死者が出たことをメディアはさかんに報じたが、その何百倍もの被害者を出したコロナワクチンについては口をつぐんでいる。ジャーナリズムが機能しているなら、人の命を金で買うような医療や製薬会社のことを、きちんと伝えてほしい」
レイバーネットTVは小さなメディアかもしれないが、大きな一石を投じたのではないか。