第29回「あるくラジオ」は10月10日、<非正規のシンボル「メトロレディーたち」の今>と題して放送された。ゲストは後呂良子さんと瀬沼京子さん。二人は、東京メトロ駅売店での非正規差別に対して組合をつくり立ち上がったメンバーである。長年たたかい、2020年の最高裁判決では基本給・賞与の是正はできなかったが、一部手当の改善を実現した。マスメディアにも大きく取り上げられ、世論に与えたインパクトは大きかった。

 番組では、それぞれの生い立ちから始まり、10年余のたたかいを振り返った。彼女たちは「寸劇・白浪五人女」をつくって運動を盛り上げたが、後呂さんは「白浪五人女では“ともに白髪のはえるまで”という台詞があるが、本当にそうなってしまった」と大笑いする。中心メンバーだった四人はみんな70歳をこえた。

 それでも、最高裁判決後の2021年3月に三人で「女闘労倶楽部(メトロクラブ)」を結成し、労働者の「ゆるい」交流の場を目指している。いま「女闘労倶楽部」が一番力を入れているのは、NTT関連の警備会社キステムの契約社員が女性Tさんが起こした「非正規差別是正」裁判の支援である。Tさんが立ち上がったのは、「女闘労倶楽部」のホームページをみたのがキッカケだった。

 また番組では、「女闘労倶楽部」の加納一美さんの肉声が2分間流された。加納さんは、昨年「大動脈解離」で倒れて救急車で運ばれ、現在入院中である。「皆さんのおかげでやっと食べたり話せるようになった。これからもリハビリを頑張る」と元気な声がスタジオに流れた。メトロレディーたちはみんな明るく前向きだ。彼女たちは異口同音にこういう。「たたかってきてよかった。おかしいことをおかしいと言える人間になった」と。

 メトロレディーたちの思いが凝縮した60分番組をぜひお聴きください。(M)

→放送サイト https://www.labornetjp2.org/walking-radio/1010/