
第30回の「あるくラジオ」(2月23日放送)は、訪問看護師でルポライターの織田忍さんをゲストに迎え、記念すべき回にふさわしい興味深い内容になりました。
織田さんは、東京の山谷で地域医療に従事する傍ら、そこに生きる人びとと急速に変わる街を見つめたルポルタージュ『山谷をめぐる旅』(新評論)を昨年11月に上梓しました。寄せ場の歴史を辿りながら、時代と山谷に暮らす人の移り変わりをあざやかにとらえて、本は注目されています。
では織田さんは、どうして山谷に関心を持ったのか。話はそのきっかけを問うことから始まります。織田さんは、アフガニスタンで地雷を踏んで亡くなった報道カメラマン南條直子に惹かれて調べているうちに山谷に行きあたります。南條はアフガニスタンに渡る前、山谷で撮影した膨大な仕事を残していました。それを写真集『山谷への回廊 写真家南條直子の記憶1979-1988』として織田さんは2012年にまとめて刊行しました。その頃看護専門学校で学び始めてもいて、卒業後数年を経て現在の〈訪問看護ステーションコスモス〉に勤務して働き始めます。「労働」の街から「福祉」の街に変わったと言われる山谷を寛容で暖かな人情に包まれ、柔らかな磁場があると語ります。ぜひアーカイブでお聞きください。