渡部秀清
7月3日、「国旗損壊罪」に反対する院内集会が、参議院議員会館会議室で開かれました。
(主催:「国旗等損壊罪」反対連絡会。会場74人、オンライン140人参加)
会には、社民党の福島瑞穂党首、ラサール石井議員、
共産党の畑野君枝議員が来て、挨拶をしてくれました。

まず、基調報告として、「国旗等損壊罪」反対連絡会の事務局長・伏見忠さん(写真↓左)が
以下のような項目の話をしました。
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1,「国旗損壊罪」は政府批判者に対する弾圧法である。
2,戦後「日の丸」は「御真影」の代替物として機能してきた。
3,国旗を大切に思う国民の感情とは
4,国際人権規約違反
5,国会審議の中で見えて来たもの
  ①学校教育の中での愛国心の強制  
  ②取締まり機関による恣意的運用が可能
  ③「国旗損壊罪」が憲法違反にあたらないという明確な答弁は無かった
6,最後に
  ・日本には憲法裁判所がない
  ・違憲立法であるか判断するのは裁判所が行う
  ・具体的な危害を被った事実がなければ審査されない
  ・残念ながら「日の丸」や「天皇」に関する裁判は・・・
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この基調は、この間の反対闘争で明らかになってきたことを、
闘う立場から具体的に分かり安く整理したものであったと思います。

次に、足立昌勝・関東学院大学名誉教授が、
<「国旗損壊罪」に見え隠れする愛国心の強制>というテーマで講演されました。
以下にその内容を要約し、報告します。
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1,国旗損壊罪新設への動き
 昨年10月に自民と維新が連立政権樹立に合意、
 その合意文書の中に「日本国国章損壊罪」を制定、今年の通常国会での 
 成立を目指すこととしたことから、それ以降の動きや、それ以前2012年に
 高市早苗氏らが「国旗損壊罪」を提出、審査未了で廃案になった経緯も
 述べられました。

2,今、なぜ国旗損壊罪なのか?
 昨年7月の参院選の際、参政党が街頭演説をしたときに
 参政党に「日本人ファーストは差別」などのプラカードや、
 大きなバツ印を付けた「日の丸」があったことから、
 神谷氏は10月に法案作成を指示したが、
 これは、選挙活動への抗議行動を法で取り締まろうとしている。
 表現の自由の問題だ。
 「立法事実」もないのに、新たな法を作成しようとすることは、
 個人的な恨み、つらみの領域の問題であり、法律で規制することではない。
 公私混同も激しいことを示したにすぎない。
 また、背景には、自民党の体質ではなく、高市首相の、
 個人的思想・国家観があるのだろう。
 まず、第一に、国旗に対する向き合い方は、個人の思想信条の問題であり、
 法によって規制されるべきものではない。
 次に、国旗に対するいかなる行為も、表現の自由の枠内で
 考えられるべきであり、それを抜きにしては考えられない。

3,日の丸はいつから国旗なのか?
 明治の初め、「日の丸」は船籍を示すものとして定められた。
 1931年には「大日本帝国国旗法案」が提案されたが、
 審議未了などで成立しなかった。
 戦後の1999年に初めて「国旗・国歌法」が成立した。
 その際審議の中で、「日の丸は侵略の歴史、その旗印にされた
 ということは紛れもない事実であります」(民主党・佐々木秀典議員)
 というような発言があった。
 この歴史を国民意識の中で完全に総括したうえで初めて
 日の丸は国旗となるのであろう。この経過を経ずして、
 丹順に国旗損壊罪を新設し、国民にその裏にある思想を強制
 することには断固として反対せざるを得ない。

4,国旗の持つ愛国心の育成
 戦前に学校教育の現場で、教科書や学校行事を通じて
「愛国心」が教えられた。
 十五年戦争の時期になると、国家主義的な道徳は超国家主義へと深化し、
 戦時体制を支える「臨戦教育道徳」へと深化した。
 特に兵員は、御旗のもとで、天皇の為に攻撃を遂行し、そのために死んでいった。
 1945年の敗戦により、戦前の国家主義・軍国主義な教育から
 民主主義な教育へと大きく転換した。
 しかし、2006年12月、第一次安倍内閣の下で教育基本法が改正された。
 その内容は、復古的色彩を帯びている。
 特に教育の目標(2条)では、「伝統と文化を尊重し、
 それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」との文言が加えられた。
 右翼団体の日本会議は、高い評価をした。
 国旗や国歌にみられる愛国心の育成は、日本において、国威発揚と
 軍備拡張にあったことは明らかである。歴史は繰り返すのだ。
 戦前への真摯な反省こそが、明日の日本を作り、近隣諸国との
 平和な関係が樹立されるのである。

5,国旗損壊罪法案に関する一考察
 ここでは、以下のことが考察されている。
 (1)「国旗」の定義があいまいである。
 国歌・国旗法で定める国旗とは、次の三要件が必要である。
  ①日章旗であること ②縦横の比率が2:3であること
  ③日の丸は中央に位置し、直径は、縦の5分の3の大きさであること
 日の丸が使われている場面はさまざまで、それらがすべて三要件を
 満たしているかどうかは不明である。
 三要件を満たした正式な国旗に限定される保証はなく、
 拡大解釈されることは想像に難くない。
 (2)処罰対象行為について
 「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法で公然と損壊、除去、汚損
 した者は2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処する」と規定している。
 これは、非常に主観的なものである。誰がこれを判断するのか。
 取締り当局の主観的判断で決定されるのであろう。

6,法案の背景にある愛国心の強制ー結びに代えてー
 この規定を置くことにより、「国旗」への尊崇の念を通じて、
 国民は愛国心を持ち、「国旗」に対する損壊等の行為があった場合には、
 「不快」の念を持つことが通常になるよう期待されることになるのである。
 まさに、この規定は、処罰のための条文ではなく、この規定を通じて
 国民に愛国心を持たせようとするものであり、持たない人々に対しては、
 周辺を通じての非難が加えられ、「村八分」的状況に追い込むことを
 目指しているのだろう。
 今、大切なことは、このような愛国心の強制ではなく、
「日の丸」が歴史的に持ってきた意味を考え、
 その歴史を総括することである。
 それが成就できた暁には、このような法案の必要性は全くなくなるであろう。
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この講演は、足立先生のこれまでの研究に基づいて、
「国旗損壊罪」についての歴史的な位置づけや、
法案のいい加減さ、危険さ、またその狙いをわかりやすく
解き明かしてくれたものであったと思います。

足立先生は、今年83歳。しかも病を克服しての講演でした。
それでも、以上のように内容豊かな原稿を準備され、
パワーポイント(AIに作らせたそうです)を使い、
しっかりした口調で講演されました。
足立先生、本当にありがとうございました。

連帯挨拶、決議などは割愛させて頂きます。
申し訳ありません。

詳しくご覧になさりたいかたは、
以下をご覧ください。
YouTube配信: https://youtube.com/live/KrSo9wdZXX8

みなさん、「国旗損壊罪」は衆院を通過しましたが、
参院での闘いが控えています。
足立先生は「歴史は繰り返す」と言いました。
しかし、一度その内容が暴露された歴史は、
二度目は喜劇にしかなりようがありません。

若者たちも立ち上がり始めました。
7月11日(土)18:30~20:30 新宿南口で
「リレートーク&音楽とコール」
~「国旗」への「敬意」を刑罰で強制し
 社会を萎縮させる「国旗等損壊罪」に反対します!~
が、若者主体で開かれます。(小雨決行。雨天延期)
共催:「国旗等損壊罪」反対連絡会
   平和と民主主義を求める<青と花と光のレジスタンス>
   (「平和フェス」主催団体)
みなさん、お集まりください。