イベント詳細

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 Statement ——CINEMA DoDuk

 東京都が朝鮮人虐殺追悼式典に追悼文を送らなくなってから去年で9年、今年も送らなければ10年連続となる。
 この10年で群馬の朝鮮人強制連行追悼碑は撤去され、ウトロ地区や大阪コリア国際学園での放火や、在日朝鮮人学校を標的にした暴行・脅迫などのヘイトクライムは止まず、「虐殺は無かった」という言葉は「虐殺は正しかった」という言葉に変わっていった。
 かつて虐殺された死者の声は排除され、街は「生きている強者」がより快適であることを優先していく。
 死者の声を排除する土地では、やがて生きている人間の声も排除されるだろう。
 死者の声に耳をすませたい。
 誰も殺さず、殺されないために。
 今回の会場であるスコットホールは、関東大震災の翌年である1924年に、虐殺された人々への追悼集会の会場となったが、警察隊100人が押し入り弾圧されたという歴史を持つ。
 当時、集会のビラなどは「虐殺」の文字には貼り紙を貼られ、字を伏せさせられたという。
 「虐殺」の文字を使用出来なかった追悼集会があったこと、そしてその集会では虐殺された人々の声に耳をすます行為すら弾圧されたこと。
 これらのことも念頭に置いて、今回の企画では演劇・映像作品3作の上演・上映を行う。
 史実である虐殺記録を引用しながら、作者の曽祖母の関東大震災での経験にフィクションを混ぜた短編劇、眞鍋せいら作・演出『眠られぬ九月の夜よ』。
 戦前に都内の私立精神病院に入院していた二人の朝鮮人患者の診療日誌のことばをモチーフに、ラッパーのFUNIの声と身体を映像化した飯山由貴による映像作品《In-Mates》。
 本作品は東京都人権部から「関東大震災時の朝鮮人虐殺」を歴史的事実とすることへの懸念を理由に上映を中止された。
 そして《In-Mates》の上映中止の件にも触れながら、その主演でもある在日コリアン2.5世のラッパーFUNIによる音楽活動、マイノリティのためのラップワークショップ、人権運動など多岐に渡る活動を追った、パク ユジン監督による短編ドキュメンタリー『FUNI』。
 生きている強者が死者の声を無視することで「虐殺は正しかった」と開き直るのであれば、この3作品を通して死者の声に耳を傾けようとする行為は「あらゆる虐殺は間違っていた」と声を上げる抵抗になりうるのではないだろうか。
 今回わたしたちが行うのは、殺された人々への追悼であり、これ以上誰も殺さない、殺されないためのプロテストである。
 かつて虐殺に加担し、今も虐殺に加担している加害国に生きる人間として、九月の夜に祈りを捧げる。

CINEMA DoDuk第二回企画「虐殺のあともあの時虐殺を見た人間であるということ」
日 時:9月1日(火)18:30~ 開場18:00
場 所:早稲田奉仕園スコットホール
 〒169-8616 東京都新宿区西早稲田2-3-1
 東京メトロ東西線「早稲田駅」徒歩5分
 アクセス→https://x.gd/C8ozo
 地図→https://x.gd/KakD5
問合せ:cinema.doduk@gmail.com

タイムテーブル
18:00 開場
18:30 短編劇『眠られぬ九月の夜よ』(約20分)上演
 *出演者:大関愛さん、イシヅカユウさん
18:50 映像作品《In-Mates》(27分)、ドキュメンタリー映画『FUNI』(21分)上映
20:00 トーク(約30分)
 *登壇者:眞鍋せいらさん、飯山由貴さん、パク ユジンさん、FUNIさん
20:30 終演
※途中入場可
※当日の進行により前後する可能性がございます。

料 金
一般:前売3,000円/当日3,500円
25歳以下ユース割引・ハンディキャップ割引:前売2,500円/当日3,000円
※お支払いは当日窓口/現金のみとなります。
※割引をご利用の方は証明できるものをお持ちください。

定 員
前売り定員150名(会場定員200名)
※予約優先となります。
 申込は【8月25日(火)】までとなります。
 予約フォーム(8/25(火)締切)
 →https://x.gd/uauMt
※送信ボタンを押すと予約受付完了のメールがGoogleから自動で送信されます。
 メールが届かない場合は、お手数ですが、下記のお問い合わせ先までメールをお送りください。
※キャンセル料はいただきませんが、やむを得ずキャンセルをご希望の場合は【8月24日(月)】までにご連絡ください。

〈車いすをご利用の方や歩行にサポートが必要な方へ〉
 会場は築年数が古い建物で常設の車いす対応設備(スロープ等)がございません。
 大変恐れ入りますが、介助が必要な方は事前にご連絡ください (申込みフォームの備考欄にご記入ください)。

 企画タイトルについて——眞鍋せいら

 「虐殺のあともあの時虐殺を見た人間であるということ」は、拙歌集『人魚と林檎』(港の人刊、2026年)に収められている短歌です。
 もともとはパレスチナ・ガザ地区での、イスラエル国家による虐殺を受けて作った連作のうちの一首でした。
 ガザ地区攻撃が始まったとき、もう元には戻れないのだと思いました。
 この手で実際に人を殺したわけではなくとも、わたしも虐殺について聞き、それを目撃して、知ってしまったのですから。
 ですが、実はわたしたちはずっと前から、虐殺を知っていたはずです。
 わたしを含む日本人が加害者であった、関東大震災後の虐殺。
 「虐殺のあと」のわたしたちは、今後、どのように生きていくのか。
 どのようにして、死者たちの声に耳をすませるのか。
 そのようなことを考えながら、この日をご一緒できれば嬉しいです。

《In-Mates》(2021年)と関東大震災後の朝鮮人虐殺(1923年9月)について——飯山由貴

 《In-Mates》は2021年に国際交流基金の事業に際して制作されました。
 しかし、オンライン展覧会の会期直前に作中の「暴力的な発言」「歴史認識を巡って非生産的な議論を招きかねない場面が含まれる」という理由で上映が中止されました。
 翌2022年5月には、東京都人権プラザで行われた飯山の個展での付帯事業(イベント)としての上映を東京都人権部に提案したところ、人権部からは小池百合子都知事が2017年から犠牲者の追悼式典に追悼文を送らないという立場を示した上で〈都ではこの歴史認識に言及していない〉〈朝鮮人大虐殺を「事実」と発言する動画を使用することに懸念がある〉などを理由とする「懸念」のメールが送られてきました。
 このメールによって、東京都人権プラザでの《In-Mates》上映は不可能になっただけでなく、小池都知事の朝鮮人虐殺事件に関する姿勢が東京都の事業にも影響していることが明らかになりました。

◎作品紹介&プロフィール

🔶短編劇「眠られぬ九月の夜よ」
 東京の品川、大井町の実家に住むひなた。
 夏に一人で盆を迎えることになり、迎え火を焚いていると、ひなたが幼い頃に亡くなったはずの曽祖母・さちの幽霊が帰ってくる。
 さちは、百年以上前の大井町で起きた関東大震災と朝鮮人の虐殺、そして家族の秘密をひなたに告げる。

作・演出 眞鍋せいら
 詩人、作家。
 1996年東京生まれ。
 東京大学大学院学際情報学府修了(修士)。
 2024年、短編劇「眠られぬ九月の夜よ」の脚本を執筆、演出を担当。
 2025年、共編著『今日もクィアでクエスチョニング』を発行。
 2026年、第一歌集『人魚と林檎』(港の人)を上梓。
 7月よりReadin' Writin' BOOK STOREにて、「ひっかきまわし短歌講座 人魚と詠う抵抗」を担当。
 フェミニズム、クィア・スタディーズ、ポストコロニアリズムに主な関心を持つ。

ひなた役 大関愛
 俳優など。
 演劇を上演する団体・お布団メンバー。
 近年は社会運動の中の芸術に強い関心があり、作品への出演のほか、イベントの企画・運営など、ジャンルや役割にとらわれない形で表現の場に関わっている。
 想像力を通して “他者と出会い直す” ことができると嬉しい。

さち役 イシヅカユウ
 モデル・俳優。
 映画『Colors Under the Street Lights』主演、『LOUD』『片袖の魚』などに出演。
 MVや広告、ファッションシーンでも活動する。
 音楽やDJ、文筆活動にも造詣が深く、多彩な表現を通して人の感情や記憶に寄り添う作品づくりを続けている。

🔶映像作品《In-Mates》
 戦前期の東京にあった精神病院、王子脳病院に1930年から40年まで入院し病没した朝鮮人の男性患者A、Bの医療記録から制作。
 彼らが病院内で歌っていた「歌」と二人の衝突を、在日コリアン2.5世のラッパー・詩人であるFUNIのパフォーマンスによって「受肉」し、現在によみがえらせようとする。(2021年/27分)

飯山由貴
 美術家。
 神奈川県小田原市出身。
 東京を拠点に活動。
 映像作品の制作とともに、記録物やテキストなどから構成されたインスタレーションを制作。
 人々との会話や出会い、自身の生活から、日本の精神医療制度、ジェンダーに基づく暴力、レイシズムに焦点を当てる。
 近年は多様な背景を持つ市民や支援者、アーティスト、専門家と協力し制作を行う。

🔶ドキュメンタリー映画『FUNI』
 在日コリアン2.5世のラッパー・詩人FUNIは、自身が日本社会で経験してきた差別やアイデンティティの葛藤をラップで表現している。
 なぜ彼は音楽活動にとどまらず、マイノリティのためのラップワークショップや人権運動に取り組むようになったのか。
 その歩みを追いながら、コリアン・ディアスポラが抱えるアイデンティティの問題と、ヒップホップが持つ癒やしと連帯の力を描く。(2024年/21分)

監督:パク ユジン
 「日本における韓流の位相と在日コリアンのアイデンティティ交渉」をテーマに研究を行い、修士号を取得。
 研究を通じて得た知見や問題意識を、文章だけでなくより多くの人々に届けるための表現手段として映像を選び、ドキュメンタリー作品の制作に取り組んでいる。

FUNI
 ラッパー・詩人。
 川崎南部の在日韓国、朝鮮人住集地域で育つ。
 2002年ラップユニット「KP(Korean Power, Korean Pride)」を結成。
 2015年より世界のスラムを放浪しながら楽曲制作。
 小中高大だけでなく少年院、外国に繋がりのある方たち、精神に障害を抱える方たちから言葉を引き出しラッパーにするラップワークショップを実施している。
 エンターテイメントだけでなくラップでの社会運動も精力的に続けている。