
<大場ひろみ>
これまで何度も報告してきたが、板橋区・大山ハッピーロード商店街は長いアーケードが目印で、東京都内でも屈指の繁盛ぶりを誇って来た商店街だが、ここ数年、突如浮上したタワマン4棟に囲まれるという再開発計画に見舞われて、「大山問題を考える会」ら有志が反対運動を繰り返してきた。11月1日、第8回のデモが開催されたが、その冒頭、これまで先頭に立って再開発に反対してきたコモディイイダの飯田武男社長から、厳しい選択の報告があった。
タワマン2棟を建設する再開発の予定地、ピッコロスクエア地区の一部でイイダが入居するハロープラザは、板橋区有地にイイダが建設し、ハッピーロード大山商店街振興組合が所有してイイダが家賃を支払うという複雑な関係を持っていた。「大山問題を考える会」の石田栄二氏によれば、その建物に対する権利変換が行われ、振興組合から再開発組合に移行、貸主が再開発組合、借主がイイダという関係になり、交渉は全て再開発組合と行うことになったという。現にデモ出発前の演説台は、スーパーの敷地の外だった(写真下)。再開発組合の所有部分で演説するなということらしい。

振興組合では今年3月に臨時総会が行われ、新ビルの1・2階部分に振興組合が店舗を取得、スーパーとして貸し出す計画になっていたが、増床して買い取るため、権利保障額3. 6億円に対し、9億円以上の赤字になる。それで採算を取るにはスーパーに坪25000円(さらに共益費2000円)以上で貸さねばならない。それまで坪8000円であった賃料を25000円への値上げを示され、イイダはやむなく撤退を考えたが、再開発組合と話し合いの末、スーパーの店舗予定部分を買い取り、竣工予定の5年後に戻ってくると決断したという。最終的に大山商店街振興組合の臨時総会(11月半ば)を待って決定される見込。飯田社長は、既に建ったクロスポイント地区のタワマンにスーパー・マルエツが入っても、「売上はむしろ130%増、お客さんのイイダさん頑張っての声がやまない」と、買い取り価格およそ9億円、店舗設備などで3億円、合わせて12億円の負担が生じてもお客様の期待に応える決心をしたのだそうだ。
イイダの建つ向かいの再開発予定地の買収(権利変換)も大方済んでいるようだが、再開発組合が明かさないので詳細は不明。しかしピッコロ地区のタワマン2棟は2年かけて調査・解体、建設工事が3年ほどで竣工の予定となった。これまで民意を無視してデベロッパーと自治体が結託する再開発に対し、反対する声を届けてきたが、虚しい結果となった。
今回のデモ後はイイダが建つピッコロ地区の再開発反対の旗は下ろすが、まだ大山には、そもそも計画のきっかけとなった都道補助26号線の延伸と、東武線の高架化、駅前広場の3点の問題が残っている。「大山問題を考える会」は、大義も必要もない26号線の延伸(土地取得率60%未満)、駅前広場という名のただの不便な道路計画に引き続き反対し、線路に対しては高架化より地下化を訴えていくとし、飯田社長も協力していくと誓った。
「大山問題を考える会」の田原佳幸氏は「ピッコロ地区の建築予想費は650億円、税金が補助金として200億投入される。クロス地区の建築費は200億、それと同じ額が税金ですよ」と憤る。「これからも声を上げ続ける、でなければ賛成したものと見なされるから声を上げ続ける」と決意を語った。同デモに参加した井上温子板橋区議会議員は、10月26日、区議会で大山の再開発について質問をした。答えたまちづくり推進室長は、ピッコロ地区の区有地・都有地について当初26号線延伸に伴う代替地の役割があったことを認めている。代替地が高度利用化(利潤を生む事業化)へ変更され、その過程で事業協力者が介入したこともおおむね認めた。この報告は重要なので是非井上氏の詳細な報告を待ちたい。
前出の石田氏は、「ピッコロ地区の竣工予定は約5~7年後と聞いています。さらに何年か延期となる可能性もあります」と、計画自体の運営を危ぶむ。商店を閉鎖させ、住民を追い出し、廃墟のような街が何年も横たわることになるのだろう。
石田氏は「大山問題を考える会としては、生活者(住民)の立場で考え、微力ですが、できる範囲で活動したいと思います」とスタンスを崩さないが、「生活者(住民)の立場で考え」なければならないのは、公共性を担う行政の責任だろう。再開発の音頭を取って企業と踊るような自治体の長はいらない。住民の声を聞き、公共の役割を早く取り戻してほしい。

