根津公子の都教委傍聴記(2026年6月25日)

何としても国旗等損壊罪法案を阻止したいと思い、国会前で行動しているため傍聴報告が遅くなってしまった。25日の公開議題は、①「教員のスキルアップ・プロジェクト」について ②教職員による性暴力等に関する相談実績(2025年)について ほか。
①「教員のスキルアップ・プロジェクト」について
この件に関しては、「新たな教育のスタイル」と題し、3月26日の定例会でAIなどのデジタル活用の強化で「国内外の最難関大学(リベラル・理工等)への進学」や「グローバルに貢献できる先端人材」を進路としてイメージする、「港区白金地区『新たな教育のスタイル』の実施校(仮称)の構想について、4月23日の定例会では2028年度から新宿高校、国分寺高校、駒場高校において、「新たな教育のスタイル」を実施するとの報告があった。
今回の報告は、その教育を担う教員を育成するために「教育イノベーション推進室」を設けて「教員のスキルアップ・プロジェクト」に取り組む。教員には10のアクションの取組を求め、アクション1から順にガイドブックを作成し3年間をかけて学校に周知するとのこと。すべての教員が習得しなければならないよう。となれば、その研修時間は膨大となる。超過勤務が当たり前の教員たちの悲鳴が聞こえてきそう…。
教育委員からは絶賛の声とともに、「学校に配るだけで終わらせずにしっかり周知させるように」「教員が子どもと向き合う時間がなくならないように」(ともに主旨)との発言があった。
イギリスやスウエーデン等では行き過ぎたデジタル教育の弊害(読解力低下や集中力不足)から、デジタルを避ける方向に向かっている。文科省や都教委は、その点をどう認識しているのであろうか。
「新たな教育のスタイル」は、デジタル活用の強化によって「自立した学習者」の育成をするという。「自立した学習者」は、文科省のHPにも登場している。言葉はきれいだが、「個別最適化の学び」と同義なのだろう。集団で意見や感想を出し合い、時には教え合う、みんな一緒の従来の学びではなく、一人ひとり個別に「できる子」は高度な学習を、「できない子」はそれなりの身の丈に合った学習を、ということなのだろう。小学生の頃からこうした個別の学習をさせられたら、学校に行きたくない子どもが増えはしないかと懸念する。
子どもたちが自分の頭で考え判断し自立を促すのではなく、「日の丸・君が代」の刷り込みをはじめとして指示・命令に従順であることを教え込む文科省・都教委が「自立した学習者」を掲げるのは眉唾もいいところ。これを企画する都教委の面々は矛盾を感じないのだろうか。
②教職員による性暴力等に関する相談実績(2025年)について
2022年度から始めたこの相談窓口は、弁護士が対応する電話相談、メール(対応者の説明はなかった)、相談シート(これは全児童・生徒に配布)で受けつけている。受けつけた相談は区市町村教委や都教委の学校経営支援センターを通じて事実確認を行い、事実が認められた場合は指導や注意喚起を行うほか、重大な非違があった場合は服務事故=懲戒処分として対処するという。昨年度の「教職員の指導に関する相談」で「事実が認められたもの」の「1」については懲戒処分にしたとのことだった。また、「教職員の指導に関する相談」で「事実が認められたもの」の「121」については当該校に助言したとのことだった。相談した子どもについては、その後スクールカウンセラーが対応するなどして安心して学校に通えるようになった子もいるとのことだった。その人数や割合については報告がなかったのでわからない。
子どもからの相談によって「教職員による性暴力等の事実が認められたのは1件だが、子どもの体を触るなどで懲戒処分になる教員は後を絶たない。学校が子どもたちにとって安全な場ではなくなっていると強く思う。
6月前半の定例会は処分案件のみで非公開であった。24日にその処分内容が都教委HPに掲載された。それによると、失職2(有印公文書偽造・同行使により懲役1年6月執行猶予3年の判決を受けて。強制性交等により懲役5年の判決を受けて。)、懲戒免職2(電車内で女性のスカート内を撮影しようとして。勤務校の女子便所に侵入して小型カメラを設置し、女性職員を撮影して。)、停職3か月処分(勤務校所有の寄贈本を、フリーマーケットアプリ上で販売して)、減給1か月(自転車走行中ひったくりに遭い、左足をけがした旨の虚偽の電話を警察にして)の6件。以上の教員の処分のほかに、足立区教委指導主事の懲戒免職もあった。この件も、路上で女性のスカート内を撮影し、さらには性風俗特殊営業店において女性従業員の性的姿態等を撮影したというもの。
こんなにも教員の犯罪が起きている現実について、都教委はどう考えているのだろうといつも思う。都教委が教員管理を強め、教員たちでの学校づくりをさせなくなった21世紀に入った頃から教員の犯罪が増えているように私には思える。働くことに喜びを感じられないから犯罪に走ってしまうのではないかとも思う。
相談件数774の【相談内容ごとの内訳】
●教職員に関する相談 498
▽教職員による性暴力等が疑われる相談 52
・事実が認められたもの 1
・事実が認められなかったもの 21
・事実確認が困難であったもの(*) 27
・調査を継続しているもの 3
▽教職員の指導に関する相談 446
・事実が認められたもの 121
・事実が認められなかったもの 274
・事実確認が困難であったもの 51
●児童・生徒同士のトラブル等が疑われる相談222
・事実が認められたもの 139
・事実が認められなかったもの 56
・事実確認が困難であったもの 27
●家庭のトラブルや地域や塾などの相談や意見 54
(*)加害者や相談者が特定できないなど、事実の確認が困難であった場合については、区市町村教委に情報を提供し、児童・生徒の動向を注視しているとのこと。

