オプトアウト制度の問題点などについて説明する網代太郎さん

竪場勝司

 通信機器を備え、各家庭の30分ごとの電気使用量を電力会社に自動送信する「スマートメーター」の設置を拒否した利用者に対し、事務手数料を徴収する制度(オプトアウト制度)が2028年4月から始まる。この有料化に反対する院内集会が7月3日、衆議院第二会館で開かれ、新制度の問題点などが指摘された。

 電力社員が検針するアナログメーターからスマートメーターへの切り替えは、「省エネの促進」や「電力会社の業務効率化」などを理由に、14年以降、国の政策として進められてきた。通信機器から出る電波による健康被害への懸念などから、スマートメーターの設置を拒否している利用者は、23年度末の数字で全国約4万件にのぼる。

 オプトアウト制度は、25年2月に開かれた総合資源エネルギー調査会小委員会で導入の方針が示された。徴収される金額はメーター1台につき、4万4000円。手数料の根拠は、利用者からの申し出により通信機器を取り外した場合、工事費などの追加費用が発生するため、とされている。

スマートメーターの設置による健康被害を訴え

 院内集会は、オプトアウト制度の撤回とアナログメーターの継続を求め、日本消費者連盟、「電磁波問題市民研究会」など4団体が共催して開いた。

 集会では、「アナログメーターの存続を求める会」代表の東麻衣子さんが、自宅にスマートメーターが設置された15年2月、頭痛やめまいなどの体調不良に陥った体験を報告。「無線通信機能による電磁波が国基準値以内であったとしても、体調や体質によって、それに耐えられない人たちがいる。安心して住める環境を確保できるよう、アナログメーターを選択できるようにしてほしい」と訴えた。

 続いて登壇した電磁波問題市民研究会の網代太郎さんは、スマートメーターについて、電磁波による健康被害の懸念、利用者のプライバシー侵害、取得したデータの漏洩、「監視社会」化への懸念など、「利用者が拒否したいと考えるだけの理由が存在する」と指摘した。

当事者からの意見聴取もなく、有料化の新制度を導入

 さらにオプトアウト制度については、スマートメーターの設置を拒否している当事者からの意見聴取、パブリックコメントの募集、国会での議論がいずれもなかった点を挙げ、「導入のプロセスに疑問がある」と批判。拒否者に対して「高額な追加料金の負担を求めることは(スマートメーターへの全面切り替えの)間接的な強制ではないか」と述べた。

 次にオンラインで登壇した、環境ジャーナリストで「環境過敏症患者会・いのち環境ネットワーク」代表の加藤やすこさんは、電波過敏症などの疾患がある人に、スマートメーター設置後に体調不良を起こしている例が多数あることを指摘。「オプトアウト制度は障害者に対する差別的取り扱いであり、障害者の基本的人権を侵害し、障害者差別解消法に違反している」と主張した。 集会の後半では、資源エネルギー庁や東京電力パワーグリッドの担当者も出席し、主催団体や会場参加者との間で、質疑応答があった。スマートメーター設置による健康被害に関する質問に関しては、どちらの担当者も「電波防護指針において、人体にばく露される電波の強さについて指針値が設定されている。送配電事業者のスマートメーターの通信機器は指針に準拠していることから、通信機器が発する電波による健康への明らかな重大な影響はないと考える」と回答するにとどまった。