
<尾澤邦子>
9月29日(火)午前9時から、韓国の国会議員会館で「グローバル企業の責任と労働者の権利 外国人投資企業撤退過程で発生した労働権行使と訴訟を中心に」というテーマで日韓国際討論会が開催され、参加してきました。
主催したのは、国会気候エネルギー環境労働委員会に所属するイ・ハギョン議員、キム・ジュヨン議員ら与・野党議員8人と市民団体のソンチャプコ(損害賠償・仮差押えをつぶそう!手に手をとって)、民主社会のための弁護士会、企業と人権ネットワーク、金属労組法律院など。
日本労働政策研究研修機構のオ・ハクス博士から「グローバル企業の責任に対する日本政府の政策及び企業の対応実態」について発表がありました。
オ・ハクス博士は、2011年国連「ビジネスと人権に関する指導原則」は、「人権及び基本的自由を尊重、保護及び実現するのは国家の基本的義務」であり、企業の役割は「特定の機能を果たす特定の社会組織として適用されるべきすべての法令を遵守し、人権を尊重するよう求められる」と、企業の人権尊重責任について話しました。
韓国労働研究院のパク・チェソンさんは、「親会社・子会社の関係または元請・下請の関係において、子会社または下請企業の労働権侵害について、親会社または元請企業に責任を問えるのか」について、複数の法人を1つの事業とみなす解釈論などを紹介しました。
討論では、現場からの報告として、韓国オプティカルハイテック労組事務長のパク・チョンヘさんと、私が話しました。
韓国オプティカルハイテックは、日東電工が100%出資して韓国クミ市に設立した子会社。2022年に工場で起こった火災を口実に、メールで一方的に工場閉鎖・退職を通知。納得できない人たちには解雇を通告。労組は話合いを求めていますが日東電工は応じません。労組のパク・チョンヘさんは、工場の屋上に上がり、600日にわたって籠城を行い、雇用継承を求めましたが、その命がけの訴えにも日東電工は知らんぷりです。声を詰まらせながら報告していました。
私は、日東電工から訴えられているふたつの裁判について報告しました。ひとつは東京地裁での「面談強要等禁止」の裁判で、もう一つは大阪地裁での「街頭宣伝等禁止」の裁判です。東京の裁判は、労組との話合いに全く応じない日東電工に対し、労働者の職場復帰を求める手紙を持って労組員が来日し、髙﨑社長(現会長)宅を訪問し、路上で手紙を読みあげたことに対するもので、尾澤孝司・尾澤邦子、通訳の方が訴えられています。労組の話合い要求であるにもかかわらず、社長という責任ある立場なのに、支援者を訴えてくるなど、スラップ訴訟だと話しました。
日韓法曹界から、韓国民弁・金属労組法律院のタクソノ弁護士と、大阪労働者弁護団の谷次郎弁護士が、「判例の限界と行政訴訟の結果が民事、刑事事件に及ぼす現実的問題」、「グローバル企業を相手取った集会と示威行動の保障の現実」について話しました。
この日の討論には、韓国政府の産業通商省投資政策課の書記官や、雇用労働省の課長も参加していました。
韓国労働運動の、根を張った力の強さを感じました。


