
<東海林智>
「3人いたら、3つの目玉が必要だ。1人に1つ食べさせたい」
2026年度の最低賃金の検討が始まり、全労連や全労協などナショナルセンターの垣根を越えて労働組合が集まり、7月2日、厚労省で記者会見し、全国一律最賃の実現や大幅引き上げを訴え、夜は新宿駅南口で最賃引き上げをアピールした。
25年度の最賃施行後ろ倒しの多発や地方からの若年労働者の流出、高市政権の1500円目標の後ろ倒し、物価上昇に追いつかない賃金……と論点は山ほどあり、どれもとても大事。追々書いてゆく。

この日のアピールで最も印象に残ったのは、下町ユニオンの石井美登里運営委員長の訴え(写真上)。それが冒頭の言葉。石井さんは組合に集まる非正規の仲間、友人らの生活の実感、低賃金の現状、最賃の引き上げがいかに切実な要求かを語った。3人の子どもを抱えるシングルマザー、物価高に苦しむ。卵10入り315円(税込み340円)、最後の1パックをスーパーで買おうか悩む。200円台なら即買いだが、じっと悩む。子どもたちの毎朝のおかずは目玉焼き。1週間をワンパックでやりくりするには、毎朝の目玉焼きに卵3個は使えない。10個に収まるように、2つの卵で作る、子どもは3人、目玉2個の目玉焼きを3人で分け合う。「1人1個目玉(黄味)を食べさせたい」という。目玉焼きに添えるウィンナーだって、これまで6本入っていた「豊潤」は1袋5本になり、実質値上げ。いつも誰がたくさん食べたかでケンカになるという。非正規の低賃金で働く母親に余裕はない。子どもにおなかいっぱい食べさせたいとの願いは贅沢な願いなのか。3人の子どもに数の足りない目玉焼きやウィンナーを出す母の気持ちを思うと泣けてくる。
最低賃金は普通に働いたら、生計を維持できる額でなくてはならないんだよ。なのに、高市は最賃1500円の目標を2030年前半まで後ろ倒しにするという。
「ボーナスの平均支給額100万円? どこの話しだ」。朝、電話で話した中小企業で働く正社員の男性(26)は吐き捨てた。彼は手取りを計算したら、最賃を10円上回るだけだったという。そこから、3万円を奨学金で返済している。ボーナス(15万円)が出たら、コンビニ弁当を買うという〝贅沢〟をする。

