堀切さとみ

 AI戦争まで想定し、急ピッチで軍事化が進む中、自衛隊内でのハラスメントが深刻化している。7月26日、東京・中野で、自衛官の人権を考える会が行われた。

 2004年から20年間で1644名。これは自衛官の自殺者数だ。2024年においては、世界中で過酷な戦闘行為を行う米軍の自殺死亡率より高かったという。20人の男性隊員から性的暴行を受けた五ノ井里奈さんの事件が明らかになっても尚、自衛隊の中ではパワハラがやむことはなく、さらに酷くなっている。その中身はいじめ、私的制裁、セクハラ、退職強要、退職妨害など、枚挙にいとまがない。元反戦自衛官で自衛官人権ホットラインを運営している小西誠さんの下には、「死にたい」「辞めたい」という相談が増え続けているという。

実態を話す自衛官人権ホットラインの小西誠さん(左)と、弁護団の種田和敏さん

 国(防衛省、自衛隊)に対して訴訟を起こした3人の現職自衛官が、自分の身に何が起きたかを語った。そもそもこれまでにも裁判はあったが、退職した元自衛官や家族によるものが主だった。しかしここ数年、現職による訴訟が増えているという。よほどのリスクを覚悟してのものだ。

 3人のうちの一人、田村さん(仮名)は航空自衛官の三佐で幹部クラス。長年の技術とはまったく畑の違うグローバルホーク班に、何の教育訓練もないまま配属された。田村さんは苦情を申し立てた結果、追い出し部屋へ。幹部自衛官であるにもかかわらず業務を与えられないことに耐えきれず、適応障害に。今も体調悪化で苦しんでいる。
 もう一人、海上自衛官で医療業務をしていた鈴木さん(仮名)は、パワハラを内部通報したら逮捕されたという。もちろん不起訴になったが、懲戒処分になった。

 そもそも階級制、絶対服従の自衛隊において、たとえ違法な命令でも拒否することができない。疑問を持つこと自体、許されないことなのだ。しかし、その絶対服従を命じる立場にある幹部クラスからも自殺者が相次いでいるのだ。
 パワハラ、過労自殺は、多くの職場で増えているが、国防を使命とする職場でこんなことが起きているなんて。この国は本当に危うい。多くの人たちにこのことを知ってほしいと、現職自衛官は訴えていた。

 田村さんの次回口頭弁論は、8月26日(水)午後3時から、東京地裁103号法廷で行われる。詳細は自衛官人権ホットライン(hotlinejsdf@gmail.com)まで