2026年7月2日 アレクサンドラ・ブラッドベリー/ルイス・フェリス・レオン

【解説:2年に一度のレイバー・ノーツ大会がシカゴで6月12日〜14日に開催された。その報告記事がレイバー・ノーツ誌7月号に掲載された。トランプ二次政権下で初の大会であり、レイバー・ノーツが果たしている役割が明らかにされている記事なので、遅ればせながら翻訳した。レイバーネット国際部 山崎精一】

2026年大会でトラブルメーカーズ賞を受賞したミネアポリス・セントポール市の労働組合員たち

 6月12日〜14日に亘ってレイバー・ノーツ大会がシカゴで開催された。トランプ政権が私たちを分断しようと強く画策しているために、恐怖や絶望を広がっている中で、連帯と未来への展望を与える場となった。

 大会中、対話や新たな戦略が生み出される熱気あふれる活気が肌で感じられた。レイバー・ノーツは、組合組織、産業、アイデンティティの違いを超えて労働者が集う貴重な機会を提供している。参加者たちは、「多民族職場での組織化」、「職種を超えた団結の構築」、「世代間の隔たりの克服」など、分断を乗り越えるための分科会に大勢押し寄せた。

 6月12日夜の全体集会では、今年の1月にICE移民税関捜査局の武装部隊がミネアポリス・セントポール市を占領した時に、家族や生徒、近隣住民を守るために闘ったミネソタ州の組合員たちに対し、会場全体が立ち上がり、長く続く拍手喝采を送った。

 セントポールの教育労働者であるマラ・ソリスは、教員と保護者がどのように連携して学校の安全パトロールを組織し、自宅待機を余儀なくされている人々に食料品や洗濯サービス、無料法律相談を提供したかを語った。彼女は、1月23日にICE移民税関捜査局の武装部隊の占領に対する市全体での1日ストライキを支持したことはリスクを伴う決断だったと述べた。しかし、その決断によって組合は歴史の正しい側に立つことができたのだ。大会参加者たちも彼女のシュプレヒコールに声を合わせた。「誰も私たちを救いには来てくれない。自分たちの身は自分たちで守るのだ。」 

ストライキは学校である

 チェリー・モイズは、ハイチから移民してきた直後にコロラド州グリーリーにあるJBSの牛肉処理工場で働き始めた経緯を語った。「働き始めるための最も手っ取り早い機会の一つでした。家族が自分を頼りにしているのですから。」

 しかし、その仕事は危険を伴うものだった。猛スピードで動くラインにより、手、肩、背中、膝を痛めた。「私は皆に理解してほしいのです。移民労働者がこのような仕事を劣悪にしたわけではありません」と彼は語った。「企業が仕事を劣悪にし、そのシステムを維持するために立場が弱い移民労働者を利用したのです。」

 グリーリー精肉工場の労働者たちは今春、食肉加工産業としては数十年ぶりとなる大規模な3週間のストライキを断行した。ピケットラインでは、57もの言語で共に踊り、歌った。昇給と保護具を手に入れただけでなく、それ以上のものを得た。「ストライキは学校です。ストライキの後、何かが変わりました。労働者たちは自分たち自身をそれまでとは違う存在として見るようになったのです。」 

 充電完了

 今年の300に及ぶ分科会やパネルディスカッションでは、多彩なトピックが取り上げられた。「富裕層への課税キャンペーンの構築」や「2026年5月から2028年5月までは階級闘争の季節」といった、より大きな政治的目標を扱ったのもあれば、「不当労働行為・ストライキ交渉のシミュレーション」や「苦情処理の好例/悪例」といった、実践的な課題に焦点を当てたものもあった。人気を集めたある分科会は、その両方の領域にまたがるもので、「ストライキ禁止条項を破る方法(そして無事に生き残る方法)」だった。

 毎年大会の中心となるのは産業別会議であり、労働者が異なる地域や組合から同じ産業の仲間と出会う場となっている。建設産業の会議は過去最大の規模となり、アマゾン労働者の会議はこれまで世界中どこで開催されたものよりも大規模なものとなった。

 ワーカーズセンター「アリバ・ラスベガス」のメンバーと共に初参加したレンガ職労組ローカル13の組合員、ノーマ・ゴメスは、「偏見のない」雰囲気の中でこれほど多くの組合活動家に囲まれたことに感謝していると語った。彼女は特に、ICE移民税関捜査局に立ち向かったミネソタ州の代表団と共に、写真を撮れたことを誇りに思っている。

 スペインのアマゾン労働者であるアルフォンソ・マルティネス・バレロは、6月14日の全体集会で、自分の倉庫におけるボトムアップ型の運動がいかにアマゾン社の出鼻をくじく戦術を生み出すことを可能にしたか語った。「アマゾンは伝統的なストライキを予想していました」とスペイン語で語った。「しかし、私たちのストライキは遥かに柔軟で創造的でした。労働者はルートを変更し、ピケットラインを数分で再編し、現場で弱点を見つけ出しました。」

 「意思決定はボトムアップで行われたため、非常に迅速でした。オーガナイザーと闘う人々との間にギャップはありませんでした……それが、アマゾンに私たちの動きを予測させるのを困難にさせたのです。そしてアマゾンも状況を把握できなくなり始めた瞬間もありました。」

 メキシコの独立系トラック運転手組合の組合長を務めるヘスス・イトゥルベロは自動車部品を輸送しているが、大会でサプライチェーンのアメリカ側の労働者と出会った。レイバー・ノーツ大会にこれほど多くの国から労働者が参加しているのを見て驚いたと言う。「私の組合では多くの挫折に直面していたため、以前はモチベーションの維持に苦しんでいましたが、大会に参加したことで気持ちが高揚しました。」「エネルギーを再充電して、モチベーションを大いに高め、準備万端で帰国しました。」彼は所属する組合が米国の労働者と協力し、共通の交渉力を高められることを望んでいる。「一番驚いたのはそのエネルギーでした」と語る。「歌声やシュプレヒコールの力です。」

巨大ネズミのマスク

 労働歴史遺産財団(Labor Heritage Foundation)はレイバー・ノーツと連携し、17の芸術・メディアワークショップ、5つの展示、4つの映画上映、1つのコンサート、3つの歌の交流会、飲みながらの労働史クイズなど、過去最も野心的な芸術・文化プログラムを開催した。さらに25の分科会では、雰囲気を盛り上げるために歌や詩で始まりまった。

 6月12日の全体集会はブラスバンドを先頭にした歓喜のパレードで始まった。新しく作られたシュプレヒコール、ピケット用の看板、紙粘土で作られた「ストライキ破り(Scabby the Rat)」のネズミのマスクなどに加え、ファシズムを表す巨大な繰人形や、過去と現在の労働闘争を描いた4つの巨大なタペストリーが行進しながら入場した。

 今年の大会では、スペイン語による分科会が増えたほか、英語のセッションでは同時通訳も提供された。
 何百人ものボランティアが、分科会の部屋にフリップチャートやマーカーを運び、案内を行い、廊下の整理、会場の設営・撤収、受付やグッズ販売のテーブルを担当した。知らない人々と簡単につながることができるため、ボランティア活動が大会の一番の魅力だと語る人もいた。

 サウスカロライナ州から初めて大会に参加した港湾労働者のマイク・ジェファーソンは、カリフォルニア州出身の港湾労働者と隣り合わせで受付デスクを担当することになった。すぐに彼らは互いの組合による労働者供給事業の仕組みを比較し始め、ジェファーソンは西海岸のシステムがいかに仕事をより公平に分配できるかを知り、感心していた。そしてアマゾンの貨物を多く扱う組合所属の港湾労働者が、アマゾンの倉庫で運動を展開する労働者をどのように支援できるかを考えるきっかけとなった。

 2026年のレイバー・ノーツ大会は、前回に続き、大会参加申し込みが、会場の収容上限である4,700人に達したため、何千人もの参加希望者を断らざるを得ませんでした。次回の大会(2028年3月24日〜26日)は、シカゴ中心部のより大きな会場に変える予定である。

 今年拡充された託児プログラムには、工作や読み聞かせ、屋外への散歩などが含まれていた。毎日終わりの時間になると、帰るのを嫌がる子供たちもいた。オハイオ州の州職員オリビア・リカードは、4歳の息子が会場のあちこちで新しい友達を見つけては駆け寄って抱き合い、ちょっとした「赤ちゃんネットワーク」を広げていた、と語る。

 マサチューセッツ州教員組合のマサチューセッツ州代表ジェシカ・タンは、息子が自分の学校よりもこの「新しい学校」を気に入り、「『新しい学校』が一時的なものにすぎないと知ってとてもがっかりしていた」と語った。     

設計図はここにある

 レイバー・ノーツ大会では労働運動の優れた経験が語られるが、その多くはレイバー・ノーツ大会から始まったものである。
「2022年、さまざまな政府機関から集まった連邦職員の小さなグループが、ここレイバー・ノーツで出会いました」と、当時住宅都市開発省の公民権担当であったポール・オサデベは6月12日の夜の参加者に語りかけた。「みんな知らないでしょうが、歴史上、連邦職員が『FUN(楽しむ/連邦組合員ネットワーク)』を持ったのはそれが初めてのことでした。」組合横断の草の根のネットワークFUNはそこから拡大した。2024年の大会までに、「私たちは第2次トランプ政権の可能性に備えて運動を展開する緊急の必要性を感じていました」と彼は言う。「レイバー・ノーツは、それを実行するための言葉、戦術、そして心構えを与えてくれました。」

 「裁判だけではこれからやってくる破壊を止めるには不十分だと理解し始めました」「しかし同時に、同僚たち、そして200万人以上の連邦職員には、反撃に必要なものがすべて揃っていることも学んだのです。」

 トランプが再選され、「私たちが今いる地獄のような局面に入った」とき、FUNの活動家たちは内部告発チームを結成し、メディア戦略を練り、報復的な解雇を乗り越えて突き進む準備ができていた。

 もう一つの事例。「2年前、私は一人で、落胆し、いらだちながらレイバー・ノーツ大会にやって来ました」と、電気労働者のエミリー・ランプキンは6月14日の全体集会で語った。「私は答えを、進むべき方向を探していました。そしてIBEW(国際電気工労組)の兄弟が、聞いたこともない組織の名前『草の根電気労働者コーカス』(注)が書かれた白黒の半ページほどのチラシを手渡してくれたとき、それを見つけたのです……」

 「私たちの中に、冷淡さや怒り、悲しみのすべてを実行力へと変えてくれるような手段があればいいのに、と切実に願った人がどれほどいるでしょうか?」と彼女は問いかける。「吉報があります。その手段は存在します! それこそが草の根電気労働者コーカスです。私たちには設計図があります。あなたもそれを作ることができるのです。」

 もう一つの事例。「4年前、私は一人でレイバー・ノーツに来ました」と、独立労組カロライナ・アマゾン連帯労組(CAUSE)」の共同創設者であるライアン・ブラウン牧師は大のFacebookページに書き込んである。「今年、私たちは19人の労働者の代表団として参加しました。次の大会では、さらに大勢で来ます。」

 「なぜなら、これは単なる会議ではないからです。自らの力を発見し、反撃する労働者階級の復活なのです。ノースカロライナから来た労働者たちがこの会場を歩き、自分たちの生活、家族、未来についての決定が下されるあらゆる部屋に、自分たちが存在する権利があるのだと実感する姿を目撃しました。」

(注)コーカスは組合内に作られる組合員の任意組織で派閥のようなもの。組合内の結社の自由、言論の自由を保障するために法律でその存在が認められている。