宮川敏一

2010年12月31日、日本航空(JAL)は経営破綻を理由に、パイロット・客室乗務員あわせて165名を整理解雇した。解雇基準には年齢や病欠歴が用いられ、当事者らは「不当な差別・選別解雇」であるとして撤回を求め続けている。解雇から15年半が経過した現在、JALはパイロット約700人、客室乗務員7,500人以上を新規採用しているが、解雇された乗務員を一人も職場に戻していない。

6月23日午前8時30分、第77回JAL株主総会が開かれる東京ガーデンシアター(有明)前で、「これでいいのか日本航空!」を掲げたアピール行動が行われた。被解雇者と支援者がリレートークを行い、総会に出席する株主へチラシを配布しながら理解と支援を訴えた。



東京都労働委員会命令で新たな局面
◆山口宏弥JHU労組委員長
この1年間で情勢が大きく変化したと報告した。東京都労働委員会は、JALに対して解雇要員数や削減目標について労働組合へ誠実な説明を行うよう命令を出した。また国土交通省も、人員削減計画などに会社が深く関与していた事実を認定している。全国各地でキャラバン行動や宣伝活動を積み重ねてきたことに触れ、「私たちは着実にJALを追い詰めている」と強調した。さらに、「差別・選別の労務政策を総括し、労使対等の関係を築くことが求められている」と訴えた。

安全を支えるベテランの経験を軽視するな
JR出身支援者の発言
JR出身の支援者は、企業がベテランの経験を軽視する風潮に警鐘を鳴らした。
長年の経験で培われた知識や判断力は数字では表れないが、安全を支える重要な財産であると指摘。
JRでもベテラン社員が現場から遠ざけられた結果、事故やトラブルが続いた事例を紹介し、
「マニュアルを守れというだけでは問題は解決しない。なぜ現場でそれができないのかを考えることが必要だ」
と述べた。
JALで相次ぐ安全上のトラブルについても、経験豊かな人材を排除してきた経営姿勢との関係を問いかけた。

人権方針と矛盾する整理解雇
別の発言者は、JALがホームページで掲げる「人権方針」と実際の行動との矛盾を指摘した。
JALは「一人ひとりの尊重」「年齢差別の禁止」などを掲げているが、2010年の整理解雇では年齢や病欠歴を基準に解雇を行った。
「言っていることとやっていることが全く違う。これは重大な人権侵害だ」
と批判した。

「削減目標達成後の解雇」が明らかに
発言者らは、東京都労働委員会の命令で明らかになった新たな事実にも言及した。
会社は経営再建のために設定した人員削減目標をすでに達成していたにもかかわらず、その後も165人の解雇を強行していたことが判明したという。
これは整理解雇の必要性そのものを揺るがす問題であり、
「最高裁で決着済みというJALの主張は大きく揺らいでいる」
との見解が示された。

経営破綻の責任を労働者に転嫁
支援者らは、JALの経営破綻は労働者の責任ではなく、経営の失敗によるものであったと強調した。
それにもかかわらず、会社は165人の労働者に責任を転嫁し、解雇を強行したと批判。
また、解雇当時も1,586億円の営業利益を計上していたことなどを挙げ、
「解雇する必要はなかった。労働者の人権を踏みにじる行為だった」
と訴えた。

株主への訴え
東京地評共同闘争会議の奥山さんは、株主へ向けて次のように訴えた。
東京都労働委員会命令によって、JALは削減目標や解雇要員数について説明責任を負うことになった。
もし本当に整理解雇が必要だったのであれば、その数字を示せば済む話である。しかし会社はそれを説明できない。
そこには、「削減目標はすでに達成されていたのではないか」
という疑問があると指摘し、株主に問題の本質を見つめるよう求めた。

解決を決断する時
最後に被解雇者・支援者から、「16年にも及ぶ争いを終わらせる決断を経営陣に求めたい」
との声が相次いだ。会社の責任による経営破綻のツケを労働者に押し付け続けることは許されず、鳥取三津子社長をはじめとする経営陣が、解雇問題の全面解決に向けて踏み出すべき時だと訴えた。

まとめ
JAL整理解雇撤回闘争は16年目を迎えた。東京都労働委員会命令によって、会社が説明を避けてきた削減目標や解雇要員数の問題が改めて問われている。
株主総会会場前でのアピール行動では、「安全を守るためにも経験ある乗務員を職場へ戻せ」「人権を踏みにじる不当解雇を解決せよ」との訴えが繰り返された。参加者は、JAL経営陣が解雇問題の全面解決に向けた決断を行うことを強く求めながら、今後も運動を継続していく決意を確認した。