根津公子の都教委傍聴記(2026年7月9日)

この日の議題は「都立第一商業高校の改編に関する基本計画」のみ。5月28日の定例会でこの件に関し簡単な報告があり、それをもとに1か月間のパブコメを経て今日はその改編に関する基本計画の提案がされた。
寄せられた86件のパブコメを、帰宅して読んでびっくり。学校関係者や第一商業高校卒業生、保護者からの意見が多く、それらの多くが都教委の改編計画に反対しているのだ。そのいくつかを紹介する。
「簿記・会計分野で実績を残してきた第一商業高校を実質閉校のような形にしてまで、新しい学校をつくる必要があったのか。第一商業高校のビジネス科がなくなることで、簿記・会計等の分野で高い知識を得られる学校は第五商業高校だけになってしまうことを理解しているのか。」
「今回の改編では『グローバル金融』を掲げていますが、その内容が主として英語教育の強化にとどまるのであれば、本来の商業育の発展とは言えないのではないでしょうか。金融や国際ビジネスで活躍できる人材を育成するのであれば、語学力だけでなく、会計・簿記・税務・ファイナンスなどの専門的知識を体系的に学び、将来的には国際的に通用する資格取得も視野に入れた教育が必要だと考えます。/また、国際バカロレアについても、その教育理念自体を否定するものではありませんが、商業高校がこれまで培ってきた専門教育との関連性はかならずしも明確ではありません。…長年にわたり培われてきた商業教育の伝統と実績を軽視し、名称やイメージを重視した改革を進めることに懸念を抱いています。」
「改編において、全学級を普通科(グローバル・ファイナンスコース、国際バカロレアコース)とするのではなく、定員の半数を現在の『ビジネス科』と存続させる『学科並置型』の改編を検討すべきである。」と書き、その「理由と意義」を詳細に記述される。
「第一商業高校の普通科への改編に反対します。私は将来、第一商業高校の全日制で簿記やパソコンなどの実務的な商業を学びたいと強く願っています。商業を学びたい人の枠を削って普通科に変えてしまうのは、意欲のある人間の学ぶ権利や居場所を奪う行為です。」
「現場や生徒、保護者や卒業生の意見を聞いてください。勝手に色々決まりすぎて困惑しています。せめて対面の説明会を開いてください。」
「教育は知識習得だけでなく人間関係の中で育つものであり、過度なデジタル化はその機会を奪う。」
さて、都教委の示した「改編に関する基本計画」は、ビジネスを取り巻く社会の変化を踏まえ、「新たな商業教育の価値を創出するフラッグシップ校」として第一商業高校を商業高校ではなく、「グローバル・ファイナンスコース」(仮称 1学年135人程度)と「国際バカロレアコース」(仮称 1学年25人程度)を持つ普通科高校とする。グローバル・ファイナンスコースでは、英語・数学等を「国際金融の学びのツール」として大学進学の観点から強化するという。大学進学が大きな目的のよう。学校名は今後検討するとのこと。
教育委員はこの計画を絶賛していた。教育委員には事前に資料が配布されているのだから、反対が圧倒的に多いパブコメも読んでいたはず。なのに、そのことに触れた教育委員は一人もいなかった。反対意見の一つを取り上げて反論するくらいの誠実さがあってもいいのではないか。いや、それとも、パブコメなんて無視していいとでも思っているのか、なんて思った次第。
「都立高校の魅力」を引き出そうと都教委は次々と施策を打ち出すが、それよりもまず都教委がしなければならないことは、精神疾患で退職・休職する教員と不登校の子どもが年々多くなっているのはなぜか、どうしたら解決に向かうのかを考えることだ。教育委員は都教委事務方にその提言をなぜしないのか。子どもたちが安心して学校に行き、楽しく学ぶことのできる学校にすることが、教育委員会の大事な仕事のはずだ。

