報告:根岸恵子(レイバーネット・フィールドワーククラブ)

 8月22日、23日の二日間、埼玉県毛呂山町のセミナーハウスで夏合宿を開きました。昨年セミナーハウスの庭の温度は46℃。今年は41℃と下がったものの、やはり暑い合宿となりました。参加者は老若男女さまざまで、延べ23人の参加となり、一日目恒例のバーベキューは室内で賑やかに行われました。今回で9回目を迎える合宿ですが、毎回熱い企画で今回も盛り上がりました。

毛呂山は自然がいっぱい

 22日は二つの企画がありました。まず14時から「若者の運動」について、大学4年生の金澤伶さん(下写真)のお話を聞きました。金澤さんは3年くらい前から路上デモに参加し、様々な人に出会い日本政府の非人道性に気づいたと言います。彼女自身はもともとノンポリだったということですが、高校生の時には反植民地主義に興味を持っていたということです。

 大学の学費値上げに際し運動を始め、2025年に院内集会を開き250人が参加しました。また奨学金の問題にも関心を持ち、奨学金は学生への「支援」なのか、金融商品なのかに疑問を抱き、在留資格のない子供への奨学金への運動もしてきました。
 学費問題の他にも、難民・移民・仮放免、歴史・平和に関する問題に取り組んでいるという金澤さん。今の政治の流れの危うさや教育費の無償化など、彼女なりの考えに社会に対する視線の鋭さを感じました。また質疑応答では天皇制の問題に踏み込むなど活発な意見交換が行われました。

 16時からはレイバーネットの会員で、ル・モンド・ディプロマーク・ジャポンの土田修さん(下写真)による「フランスの現状」についての報告がありました。フランスは来年春に大統領選があります。世論調査によると極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペンが優位とのこと。マリーヌ・ルペンは欧州議会の公金(秘書給与)を自党の運用資金へ不正流用(公金横領)したことで有罪になっています。対抗馬としては中道与党「ルネサンス」のガブリエル・アタリ、中道右派「オリゾン」エドゥアール・フィリップ、左派からは社会党系のラファエル・グリュックスマン、急進左派「不服従のフランス(LFI)」のジャン=リュック・メランションがいます。
 メランションは手堅い支持層を有しており、台風の目になるかもしれないということです。メランションの目指す政策は第六共和制への移行、大統領権限の縮小、議会強化、直接民主制の導入などでフランスにとっては変革をもたらすものとなるでしょう。6月7日にパリのサン・ドニでの選挙に向ける集会には2万6千人が集まりました。

 フランス通の土田さんの話は尽きませんでしたが、途中で流した映像ではフランスの格差社会とともに、生き生きとした若者たちのストライキが紹介されました。

 2日目は9時から乱鬼龍さんの川柳講座。宿題は「大」と「生きる」。それぞれ二句ずつ投句しました。

「生きる」
【秀逸】
生きるのが 罪だったのが 日本兵 (ふゆこ)
大ウソを 吐き出しながら 生きている (玉ねぎ)
70年 生きてもわからぬ 世の不思議 (一志)
よこしまな 政治をただせ 生きるため (夜市)
戦いの後 生き長らえて また戦さ (ふくちゃん)
生を受け 猪突猛進 枯ちるまで (おざわ)
【特選】
誹謗され 恥を承知で 生きてやる (英卯蝶)

「大」
【秀逸】
空を見て 力いっぱい 深呼吸 (おざわ)
大それた 事をぶちあげ 知らんぷり (春うらわ)
高市の 蛇顔みるたび 気もさ大 (ぶのわ)
くまモンも 揺らぐ大地に 立ち上がる (しのき)
踏み荒らし 破壊し尽くす 大統領 (夜市)
巨大デモ 高市倒す 夢を見た (一志)
【特選】
大噓が 連なっている 日本史 (ふゆこ)

受賞したジャーナリストの西里扶由子さん 持っているのは自作の句ではなく豪華粗品

 最後の企画は、大阪から来ていただいた久下格(くげいたる)さんの「労働者が三里塚を闘って」。最初に4月に行ったレイバーネットのフィールドワークの映像を流し、三里塚の今と闘いが今も続いていることを実感しました。

 久下さんは昨年、三里塚闘争を自らの闘争として闘った労働者の姿を描いた『蒼天~私記・巨大空港反対闘争の時代』を出版しました。この本を通じて久下さんは個人の体験を描きたかったと述べています。

 42年間、国鉄労働者として働いた久下さん。国鉄がJRとなったとき、国労の組合員1万8千人を収容する1400箇所の収容所(人材活用センター)に入れられ、そのことを決して忘れないと言っています。久下さんは労働者としての闘争を絡めながら三里塚を語り、双方の運動は久下さんの中で不可分の運動だったのかもしれません。三里塚を闘った農民は直接の利害で闘いましたが、支援者は社会の変革や革命が大義名分で、それは労働運動に共通するものではなかったかと思います。リスクを負いながらも三里塚を闘ったのはどうしてか、久下さんにとっての新左翼とは何だったのか。あの熱い時代の若者の思いに触れる瞬間でありました。久下さんは臨場感を持って三里塚の闘いについて話され、そこから見えてくる権力構造の本質や人間の在り方についても熱心な討論になり、考えさせられました。

久下格さん

 合宿の最後はそうめんで締め、暑い中をみなさん帰路につきました。楽しい二日間でした。