<アリの一言>

 トランプ大統領がCNNテレビなどメディア3社を一方的に排除した問題で、首都ワシントンの連邦地裁は24日、トランプの行為は違憲の可能性が高いとして差し止めを命じました。アメリカの司法はまだ機能していると思わせる判断です。

 連邦地裁の「違憲」判断の基準になっているのは合衆国憲法第1条です。

 〇アメリカ合衆国憲法修正第1条

 連邦議会は、国教を樹立し、若しくは信教上の自由な行為を禁止する法律を制定してはならない。また、言論若しくは出版の自由、又は人民が平穏に集会し、また苦痛の救済を求めるため政府に請願する権利を侵す法律を制定してはならない。

 言論・出版・集会など表現の自由はたいがいの憲法に明記されています。日本国憲法にもあります(第21条)。それを第1条に掲げているのは合衆国憲法の優れた点でしょう。

 加藤直樹氏(ノンフィクション作家)によれば、韓国で今のような意味での「キャンドル集会」が登場したきっかけは、2002年の米軍車両女子中学生轢死事件だそうです。2008年、中学生の少女たちがネットで呼びかけ、市民を巻き込んだ数十万人規模のキャンドル集会が数カ月続いた。

 この運動でアイコンになったのが「キャンドル少女」と、そしてもう1つ、デモの中で盛んに歌われた「大韓民国憲法第一条の歌」だったそうです。

 その歌詞は、「大韓民国は民主共和国だ 大韓民国は民主共和国だ 大韓民国のすべての権力は国民に由来する」。

「これ、実は大韓民国憲法第一条の条文ほぼそのままである。デモの参加者たちは憲法条文に曲を載せて歌ったのだ。どこの国でも、憲法の第一条にはいちばん大事なことが書かれている」(加藤直樹氏「民主と共和を街頭から更新する―憲法から考える韓国の「デモの力」」、「地平」10月号所収)

 〇大韓民国憲法第1条

 ①大韓民国は民主共和国である.

 ②大韓民国の主権は国民にあり,全ての権力は国民から生ずる.

 ほかの国(西側諸国)はどうでしょうか。

 〇ドイツ連邦共和国基本法第1条

 ①人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。

 ②ドイツ国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、世界のあらゆる人間社会、平和および正義の基礎として認める。

 ③以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。

 〇イタリア共和国憲法第1条

 イタリアは、労働に基礎を置く民主共和国である。

 主権は国民に存し、憲法の定める形式及び制限の中でこれを行使する。

 〇フランス共和国憲法第1条

 人は権利において自由かつ平等の者として生まれ,生存する。社会的区別は,共通の利益にもとづいてのみ設けることができる。

 たしかに、憲法第1条にはその国の「いちばん大事なこと」、「国」の在りようが書かれています。では日本はどうか。

 〇日本国憲法第1条

 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 これは日本が「民主共和国」ではなく、「天皇の国」であることを示すものにほかなりません。これが日本の市民にとって「いちばん大事なこと」でしょうか?

 憲法第1条が持つ意味を改めて考える必要があるのではないでしょうか。

*アリの一言ブログ