<アリの一言>

13日の沖縄県知事選の結果を受けて各紙が15日付で社説を掲載しました。そこには共通する重大な問題(欠陥)があります。
それは、「辺野古容認とは言えぬ」(毎日新聞)など辺野古新基地問題には言及するものの、現下の最大の問題である沖縄の自衛隊基地増強・ミサイル基地化=新たな戦場化の危険についてはまったく触れていないことです。
東京新聞は、「政府は台湾有事の可能性も念頭に、南西諸島への自衛隊配備を強化する「南西シフト」を進める。…多くの米軍・自衛隊基地を抱える沖縄の負担は増す一方だ」と自衛隊基地増強の事実はあげていますが、批判はしていません。
毎日新聞は、「安全保障環境が厳しさを増す中、対中抑止の観点から自衛隊も南西諸島への部隊配備をすすめる」とし、むしろ沖縄の自衛隊基地強化は必要だというニュアンスです。
朝日新聞は、自衛隊基地については一言も言及していません。
沖縄県紙2紙の社説(15日付)も見過ごせません。
沖縄タイムスは、「玉城氏自身の問題もあった。…多くの人に基地問題ばかりとの印象が強くなったのもマイナスポイントだったかもしれない」と、「基地問題」の訴えがマイナスであったかのように述べています。
琉球新報はさらに明確に、「今知事選で県民は基地問題より経済・暮らしを重視したことを見逃してはならない。…オール沖縄を構成する政党は…基地問題をはじめとする沖縄の不条理を訴えれば支持が集まると思い込んでいなかったか」と、まるで「基地問題」を訴えたことが誤りであったかのような論調です。
沖縄県紙2紙が自衛隊基地問題にひとことも触れないばかりか、反基地運動にブレーキをかけるような論調を展開していることはきわめて憂うべきことです。
一方、新聞の社説ではありませんが、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(15日付)に掲載されている田村智子委員長のコメントも黙過できません。
田村氏は14日、国会内で記者会見し、玉城デニー氏が「平和でも暮らしでも県民の利益に立った論戦を貫いた」とし、「基地問題では、辺野古新基地が完成不可能というだけでなく、たとえ新基地が造られたとしても、長い滑走路が確保されなければ普天間基地を返還しないという米側の方針を暴く論戦を展開した」と評価するだけで自衛隊基地問題にはひとことも触れませんでした。
当ブログでは再三述べてきたように、「沖縄基地問題」の最大の問題は、それが事実上「辺野古新基地問題」に限定(矮小化)されていることです。その陰で、元凶である日米軍事同盟=安保条約の危険性、米軍と一体化した自衛隊増強の危険性が見過ごされていることです。
この現象はもちろん今回の知事選だけではありません。実は翁長雄志氏(故人)を先頭に2013年から始まった「オール沖縄」の発足当初からの問題でした。その結果、沖縄の「基地問題」はいっそう危険性を増してきました。
「オール沖縄」の総括はまずこの点でこそ行われるべきです。しかし事態は逆の方向へ向かおうとしています。きわめて憂慮すべきことと言わねばなりません。


