10月15日、共同テーブル主催「新しい戦前にさせない」連続シンポジウムが東京・文京区民センターで開催された。20回目の今回のテーマは「税金20兆円を喰らう『死の商人』〜兵器で稼ぐ「落ちぶれた国」にはなりたくない!」だった。「安保三文書」改定、軍事費大幅増など「戦争国家づくり」に突き進む高市政権を痛烈に批判するシンポとなった。

 登壇者は、こうけつあつし(山口大学名誉教授)、内田聖子(PARC共同代表)、杉原浩司(武器取引反対ネットワーク代表)で、三氏とも運動の最前線で発信を続けている人たちだ。司会は竹信三恵子氏。そんな熱いパネラーのスピーチに、満員の聴衆も耳をそばだてて聞き入っていた。

 こうけつあつし氏は、パワポを使ってわかりやすく「武器輸出の歴史と実態」と「新安保三文書」について解説した。その中で「旧安保三文書の主眼は “反撃能力の保有” だったが、今回検討されている新安保三文書ではもう一歩踏み込んで、“先制攻撃戦略”を採用し日本を軍事モードにするものだ。戦後平和国家が根底から破壊される」と厳しく批判した。

 内田聖子氏は、「軍拡はAIからはじまる」と題して話をした。「AIの登場で戦争のあり方が変わってきた。これまで以上に民生・軍事の境界線がなくなり戦争の日常化が起きている。戦場が拡大し、大量の市民監視が行われていく」と警鐘を鳴らした。

 杉原浩司氏は、「5年で43兆円という巨額の税金が軍事費に投入されているが、三菱重工はじめ軍需企業は営業成績を伸ばし成長している。これまで、日本社会の中に埋め込まれていた平和国家の縛りやタガが軒並み崩れている。まさに“死の商人国家”の堕落が始まっている」と現状を語り、「ではどう対抗していったらいいのか、一緒に考えよう」と問題提起した。

 2時間に及ぶシンポジウムだったが、ここでは最後の質疑だけ紹介しよう。会場からの質問は「非常に危険な話ばかりですが、友人にわかりやすく説明するにはどうしたらいいですか?」だった。これに対して、こうけつ氏は「ワンフレーズでいえば、軍事大国への道は貧困大国への道である」。内田氏は「もし戦火であなたが民間人として殺される場合、人間の兵士に殺されるのかAIのロボットに殺されるか、それについてどう思いますか? と問うところから始めるといい。自分事として考えることになるから」と答えた。

 「私たちに何ができるのか?」の質問について、杉原氏は端的に答えた。「まず立憲民主党を武器輸出反対の立場に立たせること。それだけで国会の論議が変わってくる。また市民運動でやれることはたくさんある。軍事関連企業は、“評判リスク”(レピュテーションリスク)をとても気にしている。そこを突こう。実際、イスラエル製虐殺ドローン反対運動では、伊藤忠・ファミマの不買運動が広がったことで導入をやめさせたことがあった。まだ運動の余地はある。私たちは世論をつくっていくために、年度末に向けて“死の商人大賞”の運動を展開しようと思っている」と。杉原氏の元気が出る話に会場からも賛同の大きな拍手が起きた。(M)