堀切さとみ(映画祭実行委)
今年も沢山の人が板橋区グリーンホールに足を運んでくれた。とはいうものの、危険な暑さや他のイベントが重なったこともあり、午前中のみ、あるいは午後から参加という人も多かった。
オープニングの『新根室プロレス物語』。プロレスファンじゃなくても(むしろ嫌いだったという人でも)観てよかったという声が多数寄せられた。「働く労働者がプロレスを通じて、人を楽しませる。家族の言葉、仲間の想い、助け合いの姿にしびれた」「笑って泣いて、ばかばかしいところがとっても良かった」などなど。映画に出てくる「無理しない ケガしない 明日も仕事」のかけ声は、この映画の合言葉。労働現場はこうでなくちゃと思う。

『国会ペンライト行動』『チリ・ライジング』に続き、民営化前の大量解雇と闘った記録『郵政クビ切り物語』と『懲罰自転車』。1979年に解雇され、職場復帰を求めて闘った赤羽郵便局の池田実さんと、懲罰自転車をやめさせた成城郵便局の永井晃彦さんが登壇。4・28を闘った局員の中で、既に亡くなった人も多いが、池田さんは今も若々しい。20年以上前の、自分が登場する映画を観て「泣いちゃったよ」という。郵政を少しでもよくするために、労働者が笑顔ではたらけるように。巨大労組がなくなっても、その思いは引き継がれている。郵政の歪んだ体質、パワハラも長時間労働も変わっていない。でも、時代を超えて労働者は闘い続ける。世代を超えた二人が握手を交わす現場に立ち会うことができて、感無量だった。


アメリカ・ロスアンゼルスの教員たちのストライキを描いた『When We Fight』がよかったという声も多かった。中学の教員をこの春退職した私の友人は、教員生活や組合活動を振り返りながら、自分が経験したことと多くのことが重なったと言う。闘いきれぬまま職場を去ったことに、複雑な思いを抱えていた。
来場者の中には、パワハラで苦しんでいる労働者もいた。ロビーや二次会で、深刻な話をたくさん聞いた。こういう人たちが映画から希望をもらい、ユニオンや仲間とつながれば、レイバー映画祭として本望だ。AIに労働相談すれば答えは出るかもしれないけれど、人と人とのつながりをやっぱり大切にしたい。
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★以下、寄せられたアンケート報告です。
〇今年もレイバー映画祭の上映で、知らなかったこと・知ってたつもりで分かってなかったことをいろいろ学べました。
特に『郵政クビ切り物語』は圧巻で、『懲罰自転車』と同時に見ることで相乗効果があり、過去現在に共通すること(あきれるほど変わらない体質)と時代や社会の変化が分かりやすく迫ってきました。登場人物がことごとく素晴らしく、こんな人たちがいることを知って涙ぐむほど嬉しくなりました。
毎回、当事者本人と映画作者の言葉や素顔に直に触れられるのが、レイバー映画祭の大きな魅力です。ありがとうございました!!
〇プロレスの映画は初めて観ました。プロレスを誤解していたかも。お客さんを楽しませる興行って、やってる人も観てる人も楽しむものなのね!と思いました。笑って泣いてばかばかしいところがとっても良かった!
〇プロレスを観たこともなかったのですが「無理しないケガしない明日も仕事」に興味を持ちました。宮本さんのご家族の言葉、プロレス仲間の想い、社会の中での助け合い、ぐっとしびれるような映画でした。これは何度も観たくなるし、人に勧めたくなります。まわりの人を喜ばせたい、楽しませたい熱量と、プロレス好きでつながった人々の背景やくらし、「文化になったね」と言ったシーン、すごく心に残りました。
〇『懲罰自転車』声をあげて行動して、本人たちの生の言葉で変わったことや今もつづいていることなど聞けたことが貴重だった。
〇郵便局の兄さんたち。80年代によく行った飲み屋に、全逓の人たちが来ていた。国鉄分割民営化みたいになると怯えていたのを思い出す。
『くびきり物語』『懲罰自転車』良かったです。労働者から分断される世の中、なんとか変えたいですね。
〇郵便局員の抵抗運動に勇気をもらいました。アメリカの教員の連帯もすごかったです。団結すれば勝利する、ですね。もっと多くの方々に見てほしかったですが、この暑さで断念された人も多かったでしょう。
〇私は教員経験者ですが、自分が職場で体験していたことにつうじるようなこと(おかしいことをおかしいと言えない、うまい立ち回り方ができないためにと、希望しない部署に追いやられる、困っている同僚に観て見ぬふりをすることなど)が思い出され、観ていて苦しくなりました。本来の組合、連帯のあり方が昔と違っている・・本当にそう思います。でも『郵政クビ切り物語』で最後、勝利したことを知り、このことだけは今日一番嬉しいことでした。
『When We Fight』を観て、日本ではなかなかこうはいかないなとモヤモヤしました。
〇郵政民営化の弊害がよくわかった。組合の活動は地域や他の労働者との連帯が大切だと感じた。
〇新根室プロレス、何の前情報も知らずに観たが、まじめな愛に溢れ、揺さぶられ過ぎました。『when we fight』労働者が連帯していく過程を記録した素晴らしいドキュメンタリーでした。小さなことでも行動しなくてはとの思いを新たにしました。「日本では無理」と思わずに、この感動をお土産にします。
〇理不尽なことには沈黙せずに闘っていいのだと、また、闘うことで道が拓けるということが良くわかる作品ばかりでした。知れば行動に移していいんだと思える人が出てくると思います。知らないから、理不尽だと思っても行動できないのですから。
〇郵政もそうだけど、日本はすぐ上下関係を作りたがる。上の人たちはパワハラに気づかない。教育は要ですね。つくづくそう思いました。
〇郵政くびきり物語のころは、父が郵便局員でした。あんな感じだったのかと推測しました。
〇途中、受付の方に「会場が暑い」と伝えたのに、こちらが暑がっていることが通じなかった。
〇会場のスクリーンが低く、前の席の人の頭が邪魔。映画上映には不向きだと思う。
〇プロレスの映画、とてもよかったです。国会ペンライト、チリライジングもよかった。途中で帰らざるをえず、誠に残念です。
〇「チリ・ライジング」で字幕をつけてくれた方々ありがとう。なかなか観る機会のない映画をみることができてうれしい。
〇休憩時間に流れたジョリモーム路上コンサートのDVD買いました。字幕がとてもよかったから。
〇国会ペンライト行動は、高市政権、国会議員のおかしい政治を懸念し多くの人が集結し主張している姿に勇気づけられた。同じ組合の仲間がコールをしていた。とてもカッコいいと思う。民営化され労働者がないがしろにされても、それに対しておかしいと声をあげた人たちを応援したいし、勇気をもらった。
〇ロスの教職員が小さい所から徐々に組織化され、大きな団結力につながっていったのがすごいと思った。同じ学校職員として日本でもできることがあるのではと考えさせられた。


